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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.9 )
- 日時: 2011/08/22 17:13
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
- 参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode
彼女は現実逃避を試みた。現実から目を背ける事ですら、夢を見る時くらいしか無いと言うのに、現実から逃げるなんて生きているうちは有り得ない話である。
現実逃避ができなかったものだから彼女はできるだけ嫌な事を見ない様に、できるだけ優しく、できるだけ明るく、できるだけ平等に。理想の正義を自分の中で意識し行動して、それが癖になったのはいつの事か。彼女は本物の『正義』となった。
——だからこそ。現実逃避を、夢を望んだ彼女だからこそ。スペードの招待状は受け入れる事のできない事だった。望んで変わって苦労して嫌なものから離れた彼女は、できれば不思議の国の招待状など、信じたくはなかった。
「チッ」
招待状を捨てるメイコの姿を見て、舌打ちをする白い二足歩行のウサギ。高級そうな、それでいて身軽そうな服を着ている、そこらに居る筈のない変わったウサギ。それは紛れもなく——夢に忠実なラパンだった。
何かの気配を感じたのか、メイコが窓の方に目を向けた。すると。
「ウサギ……?」
ラパンの姿を見て、メイコは静かに驚愕する。服を着て二足で立っているウサギ。そのメイコとは対照に、ラパンは無言でメイコを見つめる。
メイコはラパンの出す威圧感に押さえつけられて、その場を動かない。それだけでもないのだが。しばらくその場に沈黙が続き、ラパンが動きを見せる。服の裏側をごそごそと探って、メイコにとある物を見せた。
「手紙?」
ラパンは、その場に手紙を落とす。そして、その姿のままで何処かへ跳ねて行った。
メイコは急いで家から外に出て、先程ラパンの立っていた所に行ってから手紙を拾う。手紙を開けようかという考えが頭をよぎるが、ウサギを追う事を先にして走った。
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