二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.10 )
日時: 2011/08/10 00:16
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—心—

俺はその日の夜、泉孝介の事で眠れなかった。
そして、田島が言った、‘昔の雰囲気変わった,という言葉が、俺の頭の中を暴走した。


そして次の日の朝、
何故か、泉孝介が俺らの学校にいた。
転校してきたらしい。

「…あ…昨日のヤツじゃん」
水谷は昨日の事をまだ引きずっているせいか、泉孝介をきつく睨んだ。

泉孝介は、転校初日という事もあって、まだ友達もいない様子。
中間休みも一人ぼっちでいた。


俺は、田島と水谷と、席でいろいろ話していた。






…その時…。






一人で読書をする、泉孝介に、
黒い影が近づいていた。



「泉財閥の御坊ちゃまが、こんな事ろで何してんのー?」

如何にも意地悪そうな顔つきと、口調で迫ってきた男子3人組がいた。
それに対して、泉孝介は、無言。

その態度にキレた男子達は、
「おい!!!シカトすんなよ!!!」
と言って、泉孝介の胸倉をつかんだ。

「う゛っ」

泉孝介が、小柄に対して、男子らはみんなでかい。
泉孝介は苦しそうな顔をして、必死に殴ろうとしたが、腕を掴まれているため出来ない状態だった。


「なぁ、アレヤバくねぇ?」
田島が小声で言った。

その時俺は、
自然と体が動いて、泉孝介を助けに行った。

「ちょ…何してんの!」
俺は、泉孝介の胸倉を掴んでいる、ボス的存在の男子の腕を振りほどいて言った。

「だ…だってよーコイツ、調子乗ってるから。何財閥だが知らないけど、えらい振りしてんじゃん!しかもコイツ、シカトしたんだぜ」

意地悪男子のボスは、大声で言った。

それに対して俺は、
「だからって、やっていい事と悪い事がある!それの区別も出来ないの!?」
と言った。

なんか自然と、体と口が動いたんだよな。
この時の俺。


俺の言葉に対して、頭にきたボスは、
思いっきり俺の顔面に拳をぶつけてきた。

その時俺は、一瞬何があったのか分からなくなり、
そのまま気を失ってしまった。


その後の事はよく覚えていないが、
田島と水谷が先生に伝えて、
俺を保健室まで運んでくれたらしい。

男子3人は、強烈に先生に怒られたそうだ。


目を覚ました俺に、
一番最初に目に入った物が、クリーム色をした天井だった。

その時、自分が生きているんだという事を確信した。


「…俺のせいで…ごめん…」


ベットの横には、体育座りをして泣きじゃくる泉孝介。


こうやってみると、やっぱり小柄な人だ。


こんな小柄で、大柄の3人相手に勝てるはずもない。


俺も、小柄なほうだけど、
やっぱり勝てなかった。



そして、泉孝介は、小さい声で語り始めた。



「俺、今までずっと家にいたから、友達なんて一人もいないんだ」

《え…!?》

「だから、人とどう接したらいいか分かんなくて、本当にごめん」
泉孝介は、顔を下にして言った。


俺は、その姿に、胸が締め付けるような思いだった。

《辛かったんだね…》

「ねぇ…だったら…俺と友達になってくれる?」
俺は、痺れる頬を押さえながら言った。

泉孝介は、びっくりしたのか、驚いた顔を口を開かなかった。

そして俺はまた、



「もしよかったら、俺と友達になって下さい」




と丁寧な口調で手を伸ばした。



すると…



「…はい。」



泉孝介は、顔を赤らめて、俺の手をぎゅっと握った。




その時、
「いいな、いいな〜!勇人だけ〜!!!」
田島がそう言って保健室にやってきたのだ。

「なー俺達も友達になろうぜ!!!孝介!!!」

「いいねいいね!呼び捨て!!!んじゃ、俺も孝介って呼ぼうかな」

泉は、初めての友達に驚いていた様子。
でも、本当は嬉しくて嬉しくてたまらなかったそうだ。

「…俺だけ仲間外れにしないで〜!!」

後からついてきた水谷もやってきた。

その時、やっと泉が口を開いてこう言った、


「水谷…昨日はごめん。」

泉が水谷に謝ったのだ。

「あ、いいよいいよ!べつ大丈夫だから〜」
と水谷は、手を開いて、言った。





「それと…俺と友達になってくれ」


泉は勇気を出して、自分から言った。



「お…おぉう!!!よろしくな、孝介!!!」
水谷は、そう言い、泉と握手を交わした。


この時、俺達4人の心が一つになったような気がした。



この日は、初めて泉に友達ができた記念日になった。




そして…




俺達の絆はここからスタートしたのだった。