二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.12 )
日時: 2011/08/21 14:25
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—第5章—『記憶のカギ』

—事件—

卒業式を終え、俺達は春休みに突入した。

卒業しても、俺ら4人は、しょっちゅうあっていた。
近くのマックに行ったり、ケーキ屋行ったり。
公園で野球したり。


そして、4月7日。
‘新しい気持ち,で俺は、‘南岸中,に入学した。
もちろん、田島と水谷と共に。
奇跡的に、俺ら3人は同じクラスだった。

泉は‘東城学園,に入学した。

‘東城学園,は、泉のように財閥のお坊ちゃんがいたり、モデルがいたり、音楽家の子供がいたり、医者の子供がいたりと、目も合わせられないくらいの凄い人ばかりいるらしい。



入学から1ヶ月後。
それぞれの学校に慣れ始めた頃だった。



「なぁなぁー!!今日午前授業だし、午後から4人でどっか行かねぇ!?」


田島のこの言葉を切っ掛けに、
俺達にとってとても長い1日になるのだった。


「いいねいいね!!!隣の県とか行ってみたい!!!電車で!」
田島の話に、ついつい俺ものっちゃったんだ。

そして水谷も、
「んじゃぁ、孝介にもメールしてみる」
と、皆行く準備万端だった。

メールの返事は、

「あー分かった。んじゃ、今日の12時半に○○駅集合な」

だとの事だった。


「おっしゃぁ!!!!!俺、かつ丼くいてぇな!!!」

「えー俺はケーキ食べたい!!!」

田島も水谷も大はしゃぎだった。
まるで小学生みたいだ。俺らこの時中学生だったんだけどね。

でも、小学生の時と変わらず、
無邪気な2人も見て、俺も安心できたんだ。





約束の時間になると、
俺ら3人は、スクールバックを持って、○○駅へ向かった。



「あれ、まだ孝介来てないみたいだね」

キョロキョロと、泉が来るのを待っていると、
遠くから、

《ブロロロロロロロ》

と凄い勢いで、黒くてピカピカ光っている大きな車が走ってきた。

「こ…この車は!?」

予想通り、赤いカーペットが敷かれると、
黒髪をなびかせて、制服姿の泉が降りてきた。

「こーすけ!!!」

この時、泉の制服姿を始めてみた。

おしゃれな、赤ワイン色のブレザー。
深緑と藍色のチェックのネクタイ。
ネクタイとお揃いのチェックのズボン。
黒くてピカピカ光っている豪華な靴。
さすが、偉い人だけが入る、‘東城学園,だけある。

「№105、もう帰っていいぞ。」

「行ってらっしゃいませ、孝介御坊ちゃま。」

そう言うと、
黒い車は、大きな音を立てて、帰って行った。

その姿に、3人はついついうっとりしてしまっていたらしく、
ずっと泉を見つめてたらしい。

「…あ…の…怖いんだけど…。」

泉はそう言い、腕で自分の顔を隠した。

「あぁ〜ごめんごめん!!!孝介の制服姿、初めて見たからさ!!!すっげー似合ってるよ!やっぱ、孝介はかっこいいなーなんて」

俺は、笑いながらそう言った。

すると、泉は、

「勇人だって、制服似合ってるよ。ミルクティー色のブレザーに紺色チェックのネクタイ、ズボン。」

なんてお世辞。
でも、お世辞だとしても、泉に言われるとなんか嬉しかった。


「早速いくか!!!いざ、隣街へ!!!」

「GO!!!」

田島の掛け声に合わせて、
俺らは隣の県へ行った。

電車の中は、満員だったが、
泉がいるせいか、その車両に乗っている人全員が隣の車両に移動して行った。

「…さすが、泉財閥…。」

電車の中では何を食べるかで揉めていた。

田島はかつ丼がいいっていうし、
水谷はケーキがいいっていうし。

結局、俺と田島がかつ丼食いに行くことに。
水谷と泉はケーキで、別行動してから、途中合流するという事になった。


電車を降り、

「んじゃ、お互い楽しんでこよ—な!!!」


と言葉を残し、それぞれ二手に分かれて行った。



「やっぱりかつ丼には卵だよなー!!!」
田島はかつ丼が食べられるからか、テンションがいつも以上に高かった。

きっと、水谷も同じでテンション上がってるんだろうなって思った。

2人でかつ丼やに向かい歩くこと約10分。

俺には聞こえたんだ。
微かに助けを呼ぶ声を。

「俺、大盛り頼んじゃお—かなー!!」
隣の田島は何も聞こえてないのか、かつ丼話に夢中だ。

「なぁ、悠一郎…」

「ん?」

「今さ、そこの学校の裏から、なんか助け呼ぶ声みたいな聞こえなかった?」

「いや〜?なんも?まーいーんじゃねー?」

「…確かに聞こえたんだけどな…。」



《ごめ…っんなさ…いっ…もう…間違えな…い…かっら…》



やっぱり聞こえる。

次は何か謝ってる声だった。

その時俺は、その声の方へ走りだしていった。



声のする学校の裏に行くと、
そこには、俺と同い年ぐらいの男子3人で、1人の男子を苛めていた。


そして、ボスらしき人物が、
「俺は、メロンパンを買って来いって言ったんだよ!!!てっめぇ、あんぱんなんか買ってきやがって…んざけんなよ!?あぁーん!?」
と、大声で叫んでいた。


俺は、全然無関係なのに、
ついつい一人の男子を助けようと、いじめっ子に前に出てしまった。

「何やってんの!?そいつ、謝ってんじゃん、もうやめなよ」

俺は、助けようと必死に食らいついた。


するとボス的人物が、

「んだてめぇ!?誰だ!?…んぁーいい度胸してんじゃねぇーか。こいつに変わって俺にぶたれるってーのか!!!んじゃー思いっきりぶってやるぜ」

3人は大声を出して笑い始めた。


それに俺も怖くなり、逃げたくなった。
その時苛められていた男子が、

「お…っれの事なんて、いいかっら…逃げ…って…。じゃ、ないと…君までぶたれちゃう…。」

と、俺の腕を必死に掴み言いかけた。
その手は凄く震えていた。

でも俺は、この男子が可哀そうで可哀そうで、
その場から逃げることはできなかった。




「はん、逃げないなら、さっさとやっちまおうか!!!そんじゃー手加減しねぇからな!!!これでも喰らえ—————ッ!!!!!!!!!!!」






《ゴリゴリッ》





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