二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.14 )
- 日時: 2011/08/10 23:13
- 名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)
—記憶喪失—
「悠一郎が目を覚ました」
という言葉に、俺は飛びつき、田島の部屋に急いで向かった。
「悠一郎ッ!?」
俺は部屋に入ると、
部屋には、田島が体を起こした状態でいた。
でも、様子がおかしい。
「勇人…どうしよう…悠一郎が…」
水谷が俺に飛びついて来た。
すると、田島はやっと口を開いて、
「ここは、何処ですか」
—————ここは何処ですか。
普通の田島だったら、
こんな口調はしないはず。
冗談でも冷静すぎると思った。
しかも、手が震えている。
「ここは病院。分かるか?病院」
泉が少し強い口調で言う。
すると田島は、何か思い出したのか、目を大きく開いて、
またベットに1回寝転がって、また起きた。
そして、
衝撃的な言葉を口にする。
「ところで…君たち…誰…?」
田島が、俺達の事を覚えていないなんて。
俺達3人は、一斉に床に座り込んだ。
「俺…確か、自転車に乗ってたら…事故にあって…。」
田島が、不可思議な事を語り始めた。
そのとき…
「…君…自分の名前覚えている…?」
と、西広が田島に聞いた。
「…オキ。」
…!?
「俺の名前は…確か…オキカズトシです。」
「…やっぱりな…。」
西広は、何か分かったようだ。
すると、西広は、
その‘オキカズトシ,の事を教えてくれた。
この‘オキカズトシ,という人物は、
1年前に自転車の交通事故でこの病院に訪れたのだという。
しかし、この病院ではどうにもする事が出来ないから、
大きい病院の方に紹介して、入院しているはずなのだろうだ。
でも、聞いたところ、
あれから一度も目をさましていないとのことだ。
…。
「じゃ、この悠一郎は、オキカズトシの記憶なのか!?」
泉は、西広の話に喰いつく。
「おそらくね」
西広は腕を組み、イスに座る。
「俺も詳しい事は分からない。」
それからというもの、
俺らは元気をなくしてしまった。
いつも賑やかな教室。
なのに、田島がいないだけでこんなに空気が変わるんだ。
もしも、このまま記憶が戻らなかったら………
そう考えると、
胸の奥が縛られるように苦しかった。
毎日、学校の帰りに、
西広病院に行って、様子を見に行くけど、
田島の記憶は戻りそうにない。
俺はその日から
毎日のように、病院以外のある場所に通っていた。
…そう、母さんのいるところ…。
天国の母さんにお願いしていたんだ。
『田島の記憶、そして、オキカズトシの記憶が戻りますように』と。