二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.17 )
日時: 2011/08/13 20:32
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—自分—

「俺…自分に会いたい。」

オキのその言葉に、
俺達は協力しようと思った。

オキは、事故に遭って、
気を失ったまま、もう1年は経つ。

オキ自分自身、
今の自分の状況が分からない。

ただ…

俺と三橋が見た、あの涙…。
三橋が見た、オキの指が動いたこと…。
俺は、それがどうしても気になった。

「もしかしたらさ、カズトシの記憶、そんで、悠一郎の記憶が戻るってのが、近いんじゃねーぇ!?」

今まで無言だった
水谷が立ち上がった。

その言葉に対し、

「だよなー!!!だったらさ、少しでも早く2人の記憶が戻るように、早速カズトシの入院している病院、行こうぜ!!!」

泉も立ち上がった。




「皆…ありがとう………本当にありがとう…」




オキは俯いて
涙を流した。


見た目は田島なのに、
中身はオキ。
俺は、久しぶりに田島の涙を見て、
やっぱり、この人は田島じゃないのだと、改めて感じたんだ。


そして、
俺達は、オキの入院している病院へ行った。



「みっ…みん…な…っ!!!」



そこには、
電話をくれた三橋が、横になっているオキの手を
ぎゅっと握って座っていた。


「…これっが…俺…。」

オキはゆっくりと自分の体へと進んでいく。

そして…



「辰太郎…俺…死んでるの…?」
オキは、ベットの自分の顔を見つめながら言う。

西広は、首を横に振りながら、
「大丈夫、死んではいないよ。…今にも起きてくれそうな感じなんだけどね…。」
その西広は、少し涙目になりながら言った。


涙目になっている西広を見て、オキは、




「…そんな悲しい顔…しないでよ。大丈夫…俺…絶対に死なない。…だから…そんなに悲しまないで…っ…う…っ」

オキは堪え切れずにいた涙を流し、
西広に抱きついた。

西広もオキを強く抱きしめ、

「うん…。ごめん、オキ。…俺っ…絶対に助けるから。オキが戻ってきてくれること、信じてるから…。」

あの2人の涙は、
未だに忘れられない。



目の前に、横になって目を覚まさない自分を見て、いつ自分がどうなるかも分からない状態におかされている恐怖。


大事な幼馴染が、もう、1年以上も目を覚まさない恐怖。




2人はどれだけ怖い気持ちでいるのだろう。




もちろん、俺達も田島の体は生きているのに、
記憶は何処へ行ってしまったのだと、
不安と恐怖でいっぱいだった。



結局この日は、
オキは目を覚ますことがなかった。



オキの記憶の田島も、
段々と体調も回復してきた。


最初は、オキも何がどうなったか分からない状態だったけど、
俺にも、他の皆にも、普通に接するようになった。

俺も、この機にオキの他に、
三橋、それに西広とも仲良くなった。

三橋だけ、隣の県だから、あまり会う事ができないけど、
メアド交換したから、電話とかメールとかもよくするようになった。

そして、気を失っているオキも、
三橋と同じ隣の県の病院で入院しているから、
オキの事は三橋に任せた。


そして、最初は違和感がありまくりだった、見た目田島、中身オキも
慣れれるようになった。



田島の記憶は、相変わらず戻らなかったけど、
体の方は順調に回復していった。




そして、ついに…—————。