二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.22 )
日時: 2011/08/21 14:22
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—胸騒ぎ—

「孝介様が行方不明ですって!」

「孝介様って…泉財閥のあととりの…」

「それで、見つかられたの?」

「いいえ…まだ見つかられてないそうよ…」



近所のおばさん達の声がざわめく。


知らないうちに、テレビのニュースも
泉が行方不明になったことでいっぱいだった。
まるで、大地震がきた時のように、
どのチャンネルも、このニュースで埋まっていた。


暗闇のなかを、水谷と共に走り抜けた。




俺と水谷で、泉の写真を持って
近所の人に当たってみた。


「この写真の人、見かけませんでしたか?」



でも、返ってきた返事は、


‘見かけなかったなぁ, とか
‘孝介様行方不明だそうだってね…。, とか
‘早く見つかられるといいね, とか…。


やっぱり目撃者は誰もいなかった。








腕時計を見ると、
針は11時半をさしていた。

暗闇を走り続けて2時間経った。



でも、やっぱり周りの様子は騒がしい。



大通りのところは、
大人たちが泉を探すために、懐中電灯が眩しいほどに輝いている。
パトカーの赤いランプも見える。



その時、水谷は口を開いた。




「もしかしたら、レッスン教室に戻ってるかも…」

「…え?」

「俺…行ってくる…!!!」

「ちょまっ…!!!一人じゃ危ないって!!!」

俺はそう言い手を伸ばした。
追いかけようとしたが、あっという間に見失ってしまった。





この胸騒ぎはなんだろう…。





ただ暗闇に一人残された俺は、
恐怖感に襲われた。



(…もし孝介が恐ろしいめに遭っていたら…)
(…もし文貴がこのまま帰ってこなかったら…)





(もし俺が…ここで知らない人に誘拐されたら…)




そう思っていた時だった。




俺の目の前に、
誰かが現れた。


暗かったからよく見えなかったけど、
俺より、ちょっと身長が高かった。


(…も…もしかし…て…)


俺は、自分が心の中で思っていたことが、
本当に怒ったのだと思った。


だから、大声で叫んだ。






「いや————!!!ゆ…誘拐しないでくださいぃ!!!!!!」








すると、その相手は、持っていた懐中電灯のライトを俺にあて、

「誰も誘拐なんてしないよ〜…」

と言った。


この声…この顔…
西広だった。


俺は自分の言ったことが恥ずかしくなり、
顔も熱くなった。

「孝介…行方不明…なんだってね…。」

西広も、泉を探しているらしい。

西広の話によると、
学校での泉は、特に変わった様子はなかったそうだ。



「そういえば、文貴と会った?」

俺は、レッスン教室に向かった水谷が心配で心配でしょうがなかったから聞いてみた。



「文貴…は見てない…けど、悠一郎なら見た。悠一郎ったら、片手にメガホン持ってチャリこぎながら孝介探してたよ。色んな人に、目撃した人いないかたずねてた。」


俺は、悠一郎はこの夜中一人でも大丈夫だと思ったけど、
水谷は、弱虫だから一人にするのがとても不安だった。

だから、


「俺、水谷が向かった、レッスン教室に行ってくる」
そう言ってその場を去ろうとした時だ。

西広は、俺の右腕を掴んで、

「レッスン教室って、ここから遠いよ? 俺、チャリ持ってるから、俺が文貴探してくるよ!…その代わり…」

西広は、西広の後ろに隠れていた三橋を俺に押し出し、

「廉の事、頼んだよ」

と言葉を残し行ってしまった。





三橋がいるとは思わなかったから、
正直驚いた。

「れ…廉も来てくれたの!?」

「う…うん…孝介くんっが…行方不明だって聞いたから…。」

三橋は、わざわざ10時40分の電車に乗って、
こっちに来てくれたのだ。



俺は、水谷の事は西広に任せて、
三橋と二人で泉を探そうと、三橋の腕を引っ張った。




「孝介を、探しに行くよ!!!」



「う…うんっ!!!」