二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.23 )
日時: 2011/08/21 15:22
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—学ランの少年—





———夜中12時。


腕時計を再び見ると、針はそうさしていた。



近所の人はもちろん、
泉財閥の遣われている、召使い、ボディーガード、ヘリなどが
辺りを探している。


俺と三橋も、必死になって探したが、
見つかりそうにもなかった。


「おい、君たち!ここは、俺達大人が探すから、子供は家に帰って寝な」

体つきのごっつい、おじさんが俺らに言った。


でも俺は、大事な友達をほったらかしにして、
家に帰って寝るなんてこと、できなかった。
だから、

「大切な友達なんです!!!だから、探します!!!」

って言ったんだ。

そしたら、

「こんな夜遅くに子供が外うろついてたら、あぶねーだろうが!!!子供はとっとと家に帰って寝ろ!!!」

と、思いっきり怒鳴られた。

隣の三橋も涙目で震えてた。
俺もさすがに怖かったから、
咄嗟にその場から立ち去った。


「何で子供だからって…ねぇ?」

俺は三橋に声をかけ、
三橋の方を振り向いた。

さっきまで、あんなにおびえていたのに、
三橋は眠そうな顔をして、ウトウトしてた。


「…廉…?」

「………。」


(そうか…わざわざ遠いとっから来てくれたもんなぁ…)



俺は、三橋を連れて、
家に帰った。



おばさんに事情を話し、
今晩は、泊めてもらうことにした。


外の騒ぎと比べて、家の中はとても静かだった。

でも、何かが足りないような…。




「あ!おばさん、そう言えば悠一郎は???」

「あ〜あの子、まだ帰ってきてないのよ。…そういえば、さっき、勇人ちゃん宛ての電話あったわよ。なんか、話したい事があったそうだけど…でも、名前は名乗らなかったし…。」


電話…?


俺は疑問に思った。



俺の友達だったら、普通携帯に連絡くれるはずなのに…。




「…っと、こうしちゃいられない!!!おばさん、廉をお願いしますね!」

「え!勇人ちゃん…また行くの!?」

「はい!!!行ってきます!!」



俺は再び家を出た。


電話の事は、よく分からなかったど…
泉の事で必死だった。


すると…



「勇人…?」


家を出て曲がったところで、後方から名前を呼ぶ声が聞こえた。
俺は、一瞬迷ったが、ただの空耳方と思った。

「勇人…?」

また同じ声が後方から聞こえた。
空耳ではなかったのだ。

…でも、ちょっとつまったようなその特徴的な声は、
聞いた事のない声だった。


だから、恐る恐る振りかってみると…





後方に立っていたのは、
学ラン姿の少年。




でも、この学ランの少年…何処かで見たような気が…




すると、学ランの少年は、

「俺だよ。オキカズトシ!沖一利だよ!!!」

と言った。



そう、以前田島の身体に入ってしまった記憶の主だ。


この黒髪の癖っ毛、そして少しぽっちゃり体系。
病院で白いパジャマを着て、意識不明だった少年が、
今ここに学ランを着て俺の目の前で微笑んでいる。


俺は自然と一滴の涙がこぼれた。


「お久しぶり、勇人。」

俺は、目の前の沖にびっくりして、
その場に座り込んだ。

「さっき、辰太郎にも会ってきた。孝介が、行方不明って聞いたから、俺も探しに来たんだ。」



俺はしばらく、沖と地面に座り話をした。




何故、田島の退院と共に姿を消したのかというと…

沖が目を覚ました当時、
沖の記憶は曖昧ではっきりしていなかったそうだ。

でも、沖の通う中学は
引っ越しでもしないと通えないくらい遠かったらしく、
せっかちな親は、すぐに引っ越しを決めて、沖を連れ引っ越ししたのだという…。

携帯が通じなかったのは、
あの事故により、携帯は壊れてしまったから。


さっきの俺にの電話も
沖からだったらしい。


沖は、俺の携帯分かんないからなぁ。




「俺もびっくりしたよ…文貴と喧嘩して、謝ろうとした次の日に、我に戻っているんだもん。」


沖の言葉に、
あの時の事が、とても懐かしく感じる。

今になってみれば、あの出来事も
こうして色んな人に出会えた思いでだ。







「…でね…勇人…」








沖は、頭の中で、何かを考えながら話し始めた。







「…俺、6時半頃…孝介を見かけたんだ…。」