二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.4 )
日時: 2011/08/10 00:13
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—第3章—『出会い』

—感謝—

夜道はこんなに寂しいんだなぁ〜。
俺は、何処へ向かうとか目的地もなく、ただ前へ前へと進んでいくだけだった。

すると、青い空から、一粒、二粒と雨が降ってきた。
まるで、俺の心の気持ちのように。

持ってきた、黄緑色の傘をさして、近くの木の下に雨宿りした。

不思議な事に、木の下にはいったら、雨一粒も落ちてこなかった。
普通なら、枝と枝の小さな隙間からも、ぽたぽたと落ちてくるのに。
しかも、何となく、この木の下が暖かく感じた。
まるで、俺を優しく守ってくれているかのように。

そして、俺は、段々と目を閉じていき、気が遠くなっていった。




気がついたら、そこは、暖かい家の中だった。


「ん…此処は…何処…?…うわっ!」

俺に飛びついて来たのは、1匹の犬だった。

その犬は、俺をぺろぺろと舐めはじめた。

「…くっ…くすぐったいよぉ」


すると、部屋のドアノブが動き、一人の少年が入ってきた。
「よぉ、目ぇ覚めたみてぇだな。」

黒髪のその少年は、俺と同じくらいの年の子だった。
印象は、‘明るい,

「あの…此処は!?」

「あー、此処、俺んちぃー!俺、ゆーいちろー!田島悠一郎!お前は?」

「ぼ…僕は…ゆーと。」

そうして、会話は始まった。


どうやら俺は、あの木の下に倒れていて、田島が助けてくれたのだという。
俺の家庭の事情を言うと、田島と田島の家族は快く、田島家に受け入れてくれた。


田島家は大家族だ。
それに、ペットも沢山いる。
賑やかでいい家族だと思った。


俺は、幼稚園も田島の通うところに合わせた。


そこの幼稚園でも、俺は、木の上に登っていた。


「おーい、ゆーとー、下おりて一緒に遊ぼうぜー」
せっかく田島が誘ってくれたのに、俺はまた拒否した。


そして、俺は時々こう、独り言を口ずさむ癖があった。
‘神様っているのかな,


「いるよ。」


いきなりの声に、俺は驚いた。

さっきまで、皆と遊んでいた田島が、木に登って来てくれたのだ。


「…ゆーいちろー…?」

「神様はいるよ。だって、俺達がこうやって出会えたのも、神様の御蔭だろ?」

田島はそう言って、指笛を鳴らした。

すると、指笛の音を聞いて、白い小鳥がやってきた。

「神様がいなかったら、こうやって生きていられないぜ。この鳥だって、こんな風に飛んでいられないもんなー」
田島はそう言い、また、小鳥を飛ばした。




そして、俺は感謝した。
こうやって、田島で会えた事に。

もし、あの時、田島に会っていなかったら、16歳の‘勇人,は存在しなかっただろう。