二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.5 )
日時: 2011/08/10 00:13
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—秘密—

「ゆーいちろー…ありがとう…」
俺は自然と涙を流して言った。

「…え、俺なんかした!?ってか、ゆーと泣くなよー」
焦る田島は、ハンカチを出して涙を拭ってくれた。


その時、


「はっはー!コイツちっちゃくなってやんよー」
「マジだー、おもしれぇー」

と、いかにも悪そうな台詞が聞こえてきた。


「…何だろう…ね…?」
俺がそう言っている途中に、田島は真っ先にその声の元に走り出して行った。それは、ものすごいスピードで。

「…え…ゆーいちろー…?」

俺も、田島の後を行くと、
園内で飼っている、兎を苛めている奴がいた。

田島は兎を助ける為に、すごいスピードで走っていったのだ。

「おい、何してるんだよ」
田島は、そいつらをきつく睨んだ。

「何…って…見れば分かるだろー。遊んでんだよー」

「何処が遊んでんだよ、兎、苛めてんなよ」

「なにをゆー!!!」

そうして、田島と男子2人の喧嘩が始まってしまった。
でも、俺は何もできなかった。
必死に止めようと、声をかけたが、田島の耳には、俺の言葉が入らなかったようだった。

3人の喧嘩は、いつの間にか大喧嘩になり、周りの子や、先生も集まってきた。


「ちょっと、何しているの3人とも!」


先生はそう声をかけて、止めようとしたが、
田島は、

「先生には関係ねぇよ。来るなー!」
と言った。

「ゆーいちろー君、このウサギ、僕にビビってるよー」
もう一人の男子がそう言い、兎の耳を引っ張った。

「…それ以上やるな—!!!」

田島はそう言い、指を《パチン》と鳴らした。
すると、遠くから、何かが走ってくる音が聞こえた。
その音はだんだん近づいてくるようだ。

沢山の猫が、田島の指の音を聞いて、やってきたのだ。
その猫たちは、兎を苛めた、2人の男子を思いっきり引っ掻いた。

男子は大声で泣き叫んだ。

「ゆ…ゆーいちろーって…化けもんだ!!!」
「動物操るとか…人じゃねぇ…!!!」

そう言って逃げていった。

その様子に、俺は信じられず、ただ呆然として立っていた。


「…俺、生まれつき、動物操れる力を持ってるんだ…。ほんっと…俺…化けもんみたいだな…人じゃねぇみたいだな…。」


田島はそう言い、寂しい顔を浮かべた。

「…んなことない。そんなことないよ!ゆーいちろー!!!」
俺は、田島の凄さに胸がわくわくした。

田島は頭にクエスチョンマークを浮かべたように、俺をじっと見つめた。

「動物を操れるなんてかっこいいじゃん!!!…それに、僕もね、なんか、不思議な力持ってるし…。」

「不思議な力?」

「うん…。自然の言葉が何となく分かるんだ〜」
俺はそう言い、笑顔を見せた。
田島の表情も豊かになって、
「俺たち…仲間だな!!!」
と言った。


そしてまた、俺と田島との仲が良くなったのだ。