二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.8 )
日時: 2011/08/10 00:15
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—第4章—『友達』

—クラス替え—

小学1年生だった俺は、‘田島,と‘水谷,と一緒に、どんどん成長していって、あっという間に、小学6年生の春を迎えようとしていた時だった。

俺が通っていたこの小学校では、小学6年になると、クラス替えという悪の組織があった。

その頃の春休み、俺は、せっかく仲良くなった友達や、田島、水谷たちと離れ離れになってしまうという恐怖感が多く、体調を壊す事が多かった。

その度、同じ家に住んでいる田島が、心配してくれたり、水谷が家に来てくれる事が多くあった。


「おーい、大丈夫かー?」


そうやって水谷はやって来てくれる。

そして、いつものように、

「俺の新作、聞いてくれよ」
と言って、フルートを手にし、綺麗なメロディーを響かせてくれるのだった。


田島と、水谷から元気を貰って、そしてこの日、クラス替えの発表の日だった。


緊張していた俺は、朝からお腹を壊し、トイレからなかなか出てこれなかった。

心配されながらも、ようやく学校へと向かった。もちろん、3人一緒に。



「あー!!!俺ら、また一緒になるといいよなー」
余裕そうにそう言う田島が羨ましかった。

学校に近くなるたび、俺の心臓は壊れそうなくらいバクバクいっていた。もう、しゃべる気にもなれなかった。

その異変に気付いたのか、水谷は、
「大丈夫だよー、俺ら、絶対一緒のクラスになるってー!別れちゃったとしても、同じ学校なんだから、いつでも会えるし、遊びに行くよ」
と、元気づけてくれるのだった。



そして、見えてきた学校の校門。


校門の前には、クラス発表を見る為に賑わっていた。
喜んでいる人もいたそうだが、俺には、仲良しの友達同士が、別々になって悲しんでいる顔しか目に入らなかった。

それを見るたび、胸がズキズキしてたまらなかった。



「俺、見てこよーっとー!!!」



大きくジャンプしながら、田島はクラス表を確認しに向かった。



「どーだった?」
「俺、3組ー」
「俺のは何組だった!?」
「見えねー」
「ハッ!!!ちょ、悠一郎身長小さいな…」
「しょーがねーじゃん、俺だもん」
「んじゃー自分で見てくるからいいよー」



田島と水谷の会話が耳に響く。




『何でそんなに余裕なんだよ…。俺は、心臓が爆発しそうなくらい緊張しているのに…。‘俺だけ別のクラス,は嫌だよ……。』




俺は、心の中で、そう思っていた…。



すると…



「やったぜー!俺も悠一郎と同じ3組だー!!!」


と、叫び喜ぶ水谷の声。


「まじかよー!!!またヨロシクなー文貴!!!」



その時、俺の心にはある言葉突き刺さった。




‘俺だけ別のクラス,




俺は、その瞬間目の前が真っ暗になった。


俺だけ…
俺だけ…
俺だけ…。


どん底に落ちたような気分だった。



その時だった、
「俺ら‘3人,同じクラスになるなんて奇跡じゃねー?」
と水谷が言った。

‘3人,という言葉に疑問を持った俺は、

「3人…って…?」
と、恐る恐る聞いた。

すると、水谷は笑顔で、
「え?俺と、悠一郎と勇人だけど…他に誰かいるー?」
と言った。




『俺は…別のクラスじゃなかったんだ!!!』




今までどん底にいたような気分だった俺は、水谷のその言葉によって、天に昇ったような気分に変わった。



「…よかった〜!!!」
その途端、俺は大声で喜んだ。

その様子に、田島と水谷は、一緒に喜んでくれた。


「やったな、勇人〜」
「一緒のクラスになれたぜ!これからもよろしくなー」

2人の言葉、そして、2人の優しさに、
また俺は一歩2人との距離が縮まったような気がした。