二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 君が教えてくれたこと〜思い出というキーワード〜 ( No.9 )
日時: 2011/08/10 00:15
名前: 宇野沢千尋 ◆pcUHgqcj4Y (ID: SkGQb50P)

—大金持ち—

俺達3人は、早速6年3組の教室へ向かった。
席順は出席番号順だったため、近くはなかった。

そしてこの日は、午前授業だったためあっという間に下校の時間になっていた。

「気をつけ、礼」
「さようなら」

クラスは変わったが、当番のあいさつの仕方は、昔から変わらなかった。


俺が鞄に荷物を詰めていると、田島が飛び込んできた。
「なぁなぁ、今からさー文貴と遊ぶんだけど、勇人も一緒に遊ぼうぜ」

「うん、いいねー」

俺は迷わずそう答え鞄を背負った。


そして、3人で学校を出た。


「あー腹減ったー、昼何食う?」
この日は、給食なしだったため、お腹がすいてたまらなかった。

「俺、お勧めのケーキ屋さんあるから、そこ行こうぜー」
と、相変わらずケーキ好きの水谷は言った。

水谷のこの意見から、俺達はそのケーキ屋さんへ向かった。

ケーキ屋さんは、学校から5分ほどで行ける距離で、ワイワイガヤガヤと話しに盛り上がっているうちに、ケーキ屋さんに到着した。

水谷は、此処此処と指を差しながらはしゃいだ。

そのケーキ屋さんは、ケーキバイキングだった。

プチケーキがたくさん並んでいる。

「うまそ〜!!!」
「うまそ〜!!!」

もう、目がキラキラ光るほどだった。

俺達は、早速ケーキをたくさん選んで皿にのせた。

そして席に着き、
「いただきまーす!!!」

その時の3人の声は、この店内じゅうに響くほどの大きな声だった。

「うまい、うまい」
「このいちごショート最高だぜー」
「こっちのチョコもほっぺが落ちそうだよー」

そう盛り上がっていた時だった。




《ブロロロロロッ》




外から大きな車のエンジンの音が聞こえた。



「ん…あんあ?(何だ?)」
田島が口にケーキを詰め込んだ状態で言った。

「ちょっと、外に行ってみようよ」
俺はそう言い、水谷の手を引っ張った。


すると…外には、大きな大きな車が止まっていた。
その車は、黒くてピカピカ光っていて、何処かで1回見た事があった車だった。

そして…

「皆の者、頭が高いぞー」
赤いカーペットが敷かれるとともに、少し年をとった人がそう言った。

「‘泉孝介,御坊ちゃまがお通りになるぞー」
と続けていった。


俺達3人は、顔を見合わせて、
「泉孝介?」
と言った。


車の中から出てきたのは、泉孝介という一人の小学生5年生。
この人が、泉財閥のあととりの、坊ちゃまなのだ。
そう、俺が小学1年生の頃に出会った、あの少年がこんなに大きく成長していたのだ。


「泉孝介って…俺らが1年の時に1回見た事あるよなー!あの、文貴の演奏聴きに行った日!!!」
田島は小声で俺に行った。
俺も小さく頷いた。


泉孝介は、またさらにかっこよくなっていた。
さすが、泉財閥のあととりだ…。


すると、泉孝介は、俺達の方に歩きだしたのだった。

「…不様な少年たちだな…。」
泉孝介は、水谷の顔を掴んで一言そう言って、車の中に入って行ってしまった。

そして、その車も、このケーキ屋から離れていった。


「…」

「…何なんだよ!!!あの態度!!!」
水谷は、そうキレた。

よく見ると、水谷の顔には、いちごショートの、生クリームがついていたのだ。さっき頬張って食べた奴だ。きっと泉は、その様子を‘不様,という2文字で表したのだろう。



「泉孝介…昔の雰囲気変わったな…。」



俺は田島にポツンとそう言ったのだった。


人は変わるもんなんだな…。