二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 幻月の下に唄う ーイナズマイレブンーオリキャラ募集中! ( No.109 )
日時: 2011/10/23 14:09
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

(10) 満月の予兆

 「ったく……なんなんだよ、あの女っ!」
「なんなんだよって、財前塔子って名前のDFだけど?」
“天咲が消えた”というあの一件から数時間がたった午後十一時。
月光に照らさる校舎の中庭に彼はいた。どこからついてきたのか結祈も一緒に。
「ほらほら、そんなにイラついてないで。なんのために眠い目こすって中庭まできたのさ?」
“授業出ないお前に睡眠時間なんていらないだろ。”そう愚痴りながら彼女の足元を示しすと、苦笑する結祈は“まぁ、そうなんだけどね。”と返し奏始から距離をとった。
「僕をここに呼び出したのどうせサッカーの話するためでしょ?それならサッカーしながら話そうよ。それに僕最近ボール蹴ってないし。」
足元のボールを軽く蹴るとふわりと優しく微笑みかける。




 「出会いも別れも再開も全部満月の日に起こったことなんだよ?そう考えたら僕らと月ってなんか特別な関係に思えてこない?」
しばしの休憩のとき数あるベンチの一つに腰掛けながら結祈は奏始に問いかけた。
「まぁ……偶然だろうな。……それで何が言いたいんだよ。」
夜風とかなりハードなパス練習のどこでかは分からないが冷静さを取り戻した彼は質問を質問で返す。
その行為に結祈は多少顔を曇らせながらも墨をこぼしたかのように黒い空に左手を伸ばした。
「あと少し……また何かが起こる。月がそう言ってる気がするんだ。」
指先に浮かぶ満月に近い楕円形の月を見つめ真剣に言う。
「まぁ、それが何かは分からないし分かりたくもないし、分かるべきものでもないと思うけどね。」


“全部逆さまにしちゃうの。そうすれば誰も泣かなくていいから。”

奏始の脳内で泣きじゃくる子どもの姿と月に照らされる結祈の姿が薄く重なって消えた。