二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 幻月の下に唄う ーイナズマイレブンー ( No.132 )
日時: 2011/11/03 19:48
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

(12) 開始、監視、 

 「どうぞ、お手柔らかに。」
目の前の染岡に向かいにこりと微笑む美空。

藍色に薄桃のラインの入った長袖のユニフォーム。真っ赤なキャプテンマークをしている彼の右には芽吹、左には一年の海。
いずれもポジションはFWらしく“攻撃に力を入れてくるだろう”と鬼道は語っていたことをふと思い出す。

「雷門のゴールは硬いぜ?」
「そんなん、オレが破ってやるからさ!」
少し挑発を含んだ発言は芽吹には効かなかったようで笑顔で返される。
そしてタイミングを見計らったかのように試合開始のホイッスルがグランドに響き渡った。






 「“夢幻の歌姫”と“時限の操者”はまだ健在かぁ?」
「……さぁ、どうでしょうね?」
黒髪に緑の目の少年がフェンスに寄りかかりながらニヤリと笑う。
「……誓許セイユあんた本当にあの子に似てきたわね。」
永恋は嫌みを含め呟くとちらりとグランドへ目を落とした。ふわふわと風になびく藤色の髪が視界に入る。
「どこがだよ……んなこと言うなら永恋だってあの野郎とそっくりだぜ?」
スッと人差し指を立て誰かを指差すと同時に脳天に鈍い衝撃が走る。
「……っ!!」
「あいつと私を同じにしないでくれるかしら?」
「……なんだよ!じゃあオレもあの野郎なんかと比べんな!!」
永恋に殴られた頭をさすりながら喚くが彼女は返事を返さず、少年の大声だけが高い空へと消えたのだった。