二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 幻月の下に唄う ーイナズマイレブンー ( No.149 )
- 日時: 2011/11/12 12:00
- 名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)
(14) “時限の操者”、
「ねぇ奏始、まだ攻撃しないの〜?」
二年生のDF、十野 若葉が問いかける。
彼女は染岡から一ノ瀬へのパスを難なくカットしポーンと高く蹴り上げると雷門の陣地へとボールを飛ばした。
彼女の言葉と行動の通り鏡花は開始四分間の今まで一度も攻撃に出ていない。
FWの三人がからかうかのように雷門ゴール前まで攻め込むふりはするものの円堂が身構えるたびにボールを自分から雷門メンバーへとパスすることを繰り返していた。
「……まぁ、どうだろうな。とりあえず雷門の隙間は見つかった。あとは……結祈次第だ。」
「結祈?結祈ならもう大丈夫そうだよ?ほら。」
若葉が人差し指をたてる。
「ん……?あ、そうみたいだな。」
「ほらほら、奏始〜しっかりしてよ〜!!」
ごめん、と若葉に軽く謝りつつちょうど目前をドリブルで上がってきていた染岡のボールをいとも簡単に奪い取る。
「なっ……!!」
「悪いな、こっちも五点は取らないとゴスロリの刑なんだ。」
約束してしまったのだ。女子の黄色い声とゴスロリを見て意識が朦朧としていたあのときに。隣で結祈が顔を真っ青にしていたあのときに。
「雷門から五点先取で許してあげるよ。」という恐ろしいキャプテンと。
視界にときたま入る黒と白の布切れが腹立たしくてしょうがない。しかし冷静にドリブルで上がっていく奏始。
コートの真ん中まできたときにスライディングで飛び込んできた複数の人間を上空にジャンプすることでかわし、空中で一回転するとスタンと音を立てて着地する。
「あいつ…DFだったよな?」
「なんなんだよ、あの突破力……!!」
奏始の行動に驚きを隠せない雷門陣を心の中で小さく嘲笑うと薄く口を開く。
するとその瞬間奏始を中心に時計の文字盤をかたどった巨大な魔法陣のようなものが展開された。
「“時限の操者”……なめてもらったら困るからな。」
なんのためらいもなく堂々と彼は宣言し、悪魔のような微笑みを浮かべた。