二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 幻月の下に唄う ーイナズマイレブンー ( No.194 )
- 日時: 2011/11/21 18:10
- 名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)
(2) マイナスを辿る
「……変わらないわね、あの二人。」
「確かに……そーだな。プレイスタイルも何もかも変わってねぇ。変わったっていったら必殺技がーーーー」
「そういうことじゃないわよ。……まぁ全くそうではないとは言い切れないけど。」
前半戦終了後、得点は2-0で鏡花に傾いていた。
あの後特に目立つ行動を取らず各々のポジションで本来の仕事をしていた二人は前半戦が終わると何かを思い詰めたように顔をしかめた様子が此処、校舎の屋上から見て取れた。
「……んじゃあ何が変わってねぇの?俺は見た限りそうとしか思わねぇし。」
長めの黒髪を風に揺らし誓許が呟く。
彼の肩の上には見覚えのある小鳥が一羽。“小さいけどカラスの仲間”と称されたり雷門一部に“お化け”と勘違いされた小鳥である。
「そうねぇ……言い方を変えたら“成長してない”ってことよ。」
「あぁ、そういうこと。……そりゃそうだろうな、だってあの二人ーーーー」
「ーーーー“劣化していくだけの人材”だし。」
フィールドにばらばらと選手が散らばった後試合再開の笛が鳴る。
一気に動き始め選手らの中で固まったように動かない二つの人影。
「元々成長を求めること自体が非情極まりないのよね。そんなこと出来る訳無いのに……雷門はそれが分かって無いはずよ?」
呆れたように腕を組みぽつりとこぼすと永恋は誓許の肩に乗っていた小鳥に手を伸ばす。
ぱたぱたと羽を上下し誓許から永恋に飛び移った鳥はまばたきを繰り返した後どこか儚げに小さく鳴いた。
「ーーーー結局、私達には未来なんてないのよ。どの道を行こうといずれにせよ待っているのは“崩壊”の二文字のみ。」
「……所詮はそれが遅いか早いかだけの違いってことか。」
青い空の下、意味深な会話を交わす二人。
心なしかフィールドを見下ろす目は柔らかいものとなっていたーーーー
ーーーー残る末路は破滅のみーーーー