二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 幻月の下に唄う ーイナズマイレブンー ( No.206 )
日時: 2011/11/30 17:09
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

(4) 傍観者、邪魔者。

 「何で……動かないんだ?」

後半戦開始直後、一斉に動きだすフィールドプレーヤーに混じって微動だにしないそれが二つ。
その様子を少し離れた所から見守る円堂にはもちろん、フィールドに立つ選手は知るよしもないのだ奏始と結祈が“単数しか必殺技を持たない”ということを————







<<ピッピッピ————ッ!!>>






「「「「「……はぁ?」」」」」

突如響いた笛の音、一瞬にして止まる選手の動作、重なる疑問の声、声、声……。

驚くことも無理はなかったのだ。現在後半開始直後。————にも関わらず響いた笛の音はいつもなら勝利の喜びか敗北の悔しさを感じる瞬間に耳にする音。


————要するに、紛れもなく“試合終了”を意味するために鳴らされたホイッスルだったのだ。






「あれ?おい永恋!!試合終わったぞ!?」

再び屋上風景。

大声で喚く少年、誓許と驚きの表情をみせる男の子————名前を流戯ルギというらしい。銀色の標準的な長さの髪と空色の目に青いぶかぶかのパーカー。
誓許の片手を掴み喚く彼を見つめる姿は完璧に兄弟の様にも見てとれる。

 平静を装うも驚きを隠せない永恋と隠そうともしない誓許。そんな二人に挟まれながら流戯は白色小さな手でスッと雷門ベンチ付近を示した。


「……あの人が審判に試合終わらせてって言ったよ?」
「「……ッ!?」」

一瞬にして引きつる二人の顔、目はどこか一点を見つめ激しい怒りの色をみせている。
“あの人”と呼ばれた黒とも深緑ともとれる長髪の女性————雷門の監督“吉良 瞳子”。遠方から送られる鋭い二つの視線には気が付かない様子の彼女を黄色と青のユニフォームを着た選手が取り囲みなにやら疑問の声をぶつけていた
が、それは屋上の傍観者も同じようで————










「……あの女、どこまで私たちの邪魔をすれば気が済むのよッ!!」

————荒れた声音で永恋が叫び屋上に反響した。