二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 幻月の下に唄う ーイナズマイレブンー ( No.220 )
日時: 2011/12/03 10:28
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

(5) “月夜の舞姫”

 「「「「「闇元月実!?」」」」」
「……うるさいですね。」

面々の声が重なり、少女が顔をしかめる。

つい先程試合の途中終了について文句が飛び交っていた中、不意に監督の隣に黒髪の少女が駆け寄ってきたことが大きな原因だった。
黒い長髪に金色の瞳、あきらかに雷門でも鏡花のものではない制服が周囲の目を引く。










「“闇元月実“さん、有名な選手ですから知ってると思うけれど。試合を中断したのはあの二人の実力がよく分かったからと、」
「私の能力も見たいという監督の考えらしいです。」

めんどくさそうに彼女は呟くと薄く笑いざわめく周りの選手に対しこう告げた。




「“月夜の舞姫”の能力を……。」











 「“夢幻の歌姫”も“時限の操者”も落ちたものね。」
「……まぁ、仕方ないって。そういう運命、劣化していく運命なんだからなぁ。」

場所は変わって再び屋上。

上から永恋、誓許の言葉。
弱く吹いている風に髪を遊ばせた誓許は何を思ったのか不意に青く澄んだ空を見上げた。


「劣化していく運命……ってそれ私たちにも当てはまるんじゃないの?」

無邪気に“なんのこと?劣化って何?”と疑問の声を上げる流戯を無視して誓許に問いかける永恋。

コクン、と首を縦にふった彼を色の違う両目で凝視すると小さな溜め息を一つこぼし“他人事にするんじゃないわよ”と悪態をつく。
それっ切り黙ってしまった二人を代わる代わる見つめる流戯はふと屋上の入り口に目をやった。
そして目を驚いたように見開く。

視線の先にあったのは風雨にさらされ若干錆びついた扉。















そして、その前に佇む二人の少年少女。




 「劣化とか……まぁ確かにしてるけど。」
「それより……散々お前らが“裏切り者”って呼んだ俺達に今更何の用だ?」


少女が呟き、少年が問う。

いつの間にか気付いたらしい永恋と誓許も彼ら二人を見つめ、あからさまに嫌悪の表情を浮かべていた。









「久しぶり、永恋、誓許。」

藤色の髪を揺らし、結祈は微笑んだ。