二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 幻月の下に唄う ーイナズマイレブンー ( No.224 )
- 日時: 2011/12/03 20:15
- 名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)
(6) 夢と月
「……久しぶりね、結祈。」
微笑む結祈に対して目線をそらし小さく答える永恋、返事をしない誓許、そんな彼の影にとりあえず隠れる流戯。
「変わらないな、永恋も誓許も。……その男の子は始めて見たけど……誰かの弟か何かか?」
誓許の背後から風に揺られちらちらと動く銀色の髪を示し問う奏始。
肩に乗った小鳥の縁が流戯に向かって飛び立つと
顔をしかめた誓許は少し間を置き“ただのガキだ。”と返した。
この調子でろくに続かない会話の中、自然と途切れた言葉の中で、何を思ったのか急に永恋が口を開いた。
「結祈、奏始。アンタ達に一つ教えてあげる。」
「「……?」」
「……“自分を人間と思うな。……”化け物の分際で幸せとか甘い夢を見てるんじゃないわよ。」
「……それじゃあ闇元が俺に向かってシュートを打つ。それが止められたら俺の勝ち、止められなかったらお前の勝ちな!!」
“わかったかー!!”とゴール前で叫ぶ円堂に対して静かに頷く月実。
監督考案の簡単な入部テストだ。
本来ならテストなど無しでもいいのだが、今雷門が戦っているのは正体不明、力量不明の宇宙人。実力が重視されて当然の状況と言っても過言ではないだろう。
生憎白いカッターシャツに藍色のスカート姿という運動出来る格好でなかった彼女は秋から渡された予備の雷門のユニフォームでゴールから数メートルの距離に立つと“行きますよ、”と円堂にサインを出した。
ルールは円堂の言った通りの一本勝負。
しかしながら“月夜の舞姫”として中学サッカー界で名高い月実の本来のポジションはMF。何故わざわざ“シュートだけを見る。”というテスト内容にしたのか、“MFなら攻守両方を見るべき”という常識を無視したテスト内容に首を傾げたコート外の面々。
そんな彼らをコート内から見た後彼女は誰にも届かないような声で呟いたのだ。
「……“月夜の舞姫”の名前、なめてもらったら困りますよ。」