二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 幻月の下に唄う ーイナズマイレブンー ( No.271 )
日時: 2011/12/19 15:29
名前: 天音 (ID: P/D0CuiW)

(13) 別れと願いと

 雷門中が一日にして闇元、天咲、神原を仲間にした翌日。

















「うん、やっぱりこれダサいって。」
「……お前はこれ以上敵を増やすのか?」
「サイズあってますしこれでいいですよ。」

イナズマキャラバンの前には鏡花ではなく雷門指定のジャージを身に纏った三人の姿があった。
ジャージがダサいと口を尖らせる結祈、その言葉のせいで突き刺さる夏末の視線に耐えかねた奏始。そしてそんな二人のことなど、どこ吹く風でサイズを気にする月実。

 様々な反応を見せた三人に鏡花サッカー部の面々が声援を送る。月実に関しては転校初日でキャラバンに抜擢されたため関わりは少ないはずなのだがどうやらそこは気にしていない様子だった。

「……じゃあそろそろ出発するわよ!!」

監督の掛け声にハイ!と元気な返事が返る。地平線から完全に顔を出した太陽が別れの瞬間を優しく照らす。

「じゃあな東雲!お前達との試合楽しかったぜ!!」
「結祈と奏始をたのんだよ?青森から応援してる、頑張ってね!」

キャプテン同士、車窓を通して言葉を交わしているとゆっくり、キャラバンが進みだす。







そして、一層大きくなる声援を背にスピードに乗ったキャラバンは鏡花の敷地内を飛び出して行った。
残ったのは虚しく薄明るい空に響く声援。














「“Good speed.”。結祈、奏始頑張ってね……そして






























“あの子達”を助けて。」

校舎のとある教室から女、もとい出雲がその様子を眺めていた事を二人は知らない。

「……あなた達なら大丈夫。頼んだわよ?」

思い詰めた顔をした出雲。手には一枚の写真。
幼い少年、少女、共に二人ずつが写ったそれはかなり前の物らしく少し色褪せほころびている。しかしそれを見つめる出雲の顔は年齢を感じさせない程明るいもの。




「……四人ともいつからあんなに可愛くなくなったのかしらねぇ?」

“反抗期って怖いわ。”と呟いた彼女。

「……“憎しみの心は何も生まない”。一体誰の言葉だったかしら。」

長い黒髪が揺れる。

何かを思う彼女の声も豆粒の如く小さくなりつつあるキャラバンには届かない。

“Good speed.    旅人達に良い旅を”