二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  花残の月 〔 inzm, 〕 ( No.30 )
日時: 2012/04/24 21:20
名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
参照: 今日自分の誕生日だって事をすっかり忘れてた























  「君は、あたしにたっぷりと愛を注いでくれるって言ったよ?」



  「なのに……ねぇ、あたしを放っときぱなし?」



  「可笑しいよ、酷いよ、酷いよね、酷い、酷い、酷い、酷い、酷い、酷い、酷い、酷い」








 壊れたCDの様に、同じ言葉を何回も連呼し始めた



 様子が可笑しい 



 黙れ



 表情が暗い



 怖い



 恐い



 この圧迫感



 教室には二人しか居ないのに



 ぎゅうぎゅう詰めの箱の中に押し込められた様な



 そんな苦しさ



 早く此処を出たい



 足は動かない



























 『彼女』が、恐くて














  「話……聞いてる?」






 つかつか、




 歩み寄ってくる



 近づくな



 苦しい



 息が



 




 


 『彼女』は普段想像出来ない



 その大きな力でグッと



 俺の肩を掴んだ






 ——逃げられない、







 






  「あたし、一人じゃ寂しい」



  「一緒に居てよ」





 無理だ



 下で仲間が待っている



 そう言おうとした瞬間



 左手で口を押さえ込まれた



 いつの間にか背後はロッカーで



 彼女を押し返さなければ、逃げる事も出来ない



 力の差は圧倒的に俺が上の筈



 なのに……“出来ない” 



 足の震えが収まらない



 相手は遠慮が無い














  「あたしは君が大好き、いや愛してる」



  「だけど、口を開けば君は仲間、仲間ばっかり」



  「あたしへの愛を囁かない君の口なんて要らない、必要無い」









 変だ



 絶対変だ



 いつもの明るい彼女は何処へ行った?



 いつもの優しい彼女は何処へ消えた?










  「——……ううん、違うか」






 彼女の力が緩む






  「酷いのは君じゃない」



  「君を仲間思いにさせた、君の仲間が悪いんだ」



  「あたし達が一緒に居たがっているって解ってる筈なのに」



  「君を解放してくれない、酷い奴、醜い奴」



  「悪いのは君じゃない、意地悪な“アイツら”だ」









 今なら……逃げ出せる



 そして、明日になって、また彼女はあの明るく優しい彼女に戻っている



 皆一緒に……仲良くなっている











 女相手にこんな事をするのは気が引けたが



 正当防衛だ



 きっと許してくれる



 俺は彼女を——……力任せに、ドンッと



 彼女はバランスを崩して倒れこみ



 頭は机の角に

























 ——ゴッ、














 鈍い音が響いたのは






































































 俺の方?