二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  花残の月 〔 inzm, 〕 ( No.33 )
日時: 2012/04/28 22:45
名前: 紅闇 ◆88grV3aVhM (ID: dNKdEnEb)
参照: 『願いを』





























 あれ?



 押したのは、俺



 なのに、どうして



 避けられたか



 情けない













 

 俺は仰向けに倒れて



 彼女は上に馬乗りになって



 小さくて、細長い



 果物ナイフを



 俺の首筋に当てていて



 逃げようにも



 さっきぶつけた頭が痛くて



 どこかで切れたのか



 心臓が脈打つ度に



 ズキズキという血が流れ出す痛みと



 鈍い音が頭の中に響いていた











  「安心して良いよ」



  「君がちょっとだけ気を失っている間に、ドアに鍵をしたから」



  「君に群がる酷い奴らは、入って来れないから」








 
 誰かに助けて貰うという



 希望は絶たれ



 俺は、もう




 諦めた



 





  「……真っ赤な色」



  「君から流れるその色、もっと見たいな……」



  「……勝手にしろ」



  「本当? やった、嬉しいな」







 子供の様にはしゃぐ



 その笑顔



 ああ、その笑顔を



 普通の状態で



 もっと沢山、見たかった









 彼女はナイフを持つ手を振り上げ、笑った



 俺は観念した



 だから笑った



 顔が引き攣って上手く笑えなかったけど



 



  「そうだ」



  「ねぇ、最期にあたしに何か言ってよ」




  「一言?」




  「それでも良いよ」






  「ジャッジしてあげる」



  「答え方によっては、赤い色を見るより嬉しいから」











 つまりは、殺さないのか



 何と言おう



 “愛してる”か



 “愛してた”か









 いや……俺の望みを言った方が良いのかな



 命乞いなんてしない







 俺は——……
















  「決まった?」




  「……ああ、


















































  





























          死ね、狂人野郎が」
























































    あ、






























 朱に染まっていく視界



 この異常な空間で





 俺は想い、願う






( 元の彼女に )