二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【D灰】黒×白Wonderland ( No.1 )
- 日時: 2011/08/22 09:22
- 名前: 杏 (ID: VNDTX321)
※※※ 第 零 夜 ※※※
「———ようこそ、黒の教団へ」
眼鏡の男はそう言って微笑んだ。
コムイ・リー…黒の教団の室長に値する人物。
要チェックの可能性大。
「行くわよ、ハイネ」
「…はい」
記録が済むのと同時に、鋭く声を掛けられた。
黒髪ウェーブのルダ。
彼女は私の師匠である。
“ルダ”は164番目の名前。
———そして私の“ハイネ”は、27番目の名前だ。
「どうぞ、そこに腰掛けて」
「失礼します」
私とは逆に無言で座る師匠。
真剣な瞳で、まっすぐに室長を見つめている。
「…室長。一つお聞きしたい事があるのですが」
「何です?」
「何故、我等を此処に迎えたのですか」
私が不思議に思っていた疑問。
やはり師匠も理解出来ていないらしい。
「以前まで“ノア側”に居た我等を、何故…。
此処にはすでにもう一組のブックマンがいるのでしょう」
「…理由はただ一つ」
コムイ室長は静かに目を伏せた。
———これから口にする言葉を、私は聞きたくないような気がする。
「簡単な事です。ノアの情報が欲しい———ただそれだけですよ」
「敵を倒す為に我等を利用する、と?」
「失礼な事を言っているのは承知の上です。
ですが私達黒の教団には、その方法しか無い」
「とうとう限界が近付いてきているという訳ですか」
師匠の言葉に、室長は唇を噛み締めた。
———悔しくてたまらない、というように。
握り締めた震える拳が、それを物語っている。
「…お願いです。力を貸してください」
それに頷いたのは、師匠ではなく私だった。
「思う存分利用してください。
私達は誰かの役に立つしか価値が無いのですから」
利用したいだけすれば良い…。
そう言った事に、後悔はない。
こうして私は、黒の教団のエクソシストになった。
もっとも、以前ノア側に居た事は口外しないという条件付きだが。