二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

[ 彩音と秋 ] ( No.14 )
日時: 2011/09/22 19:35
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: KCnf7FEj)

 ちくん。
 心の奥が妙に痛んだ。針が刺さったような、そんな感覚。ふ、と息を吐いて辺りを見回す。暗くて、何も見えない。瞼が重い、眠い。ゆっくりと首を傾げた。さて、此処は何処でしょうか。世界は知らない世界。あたし、どうしちゃったんだろう。

「——彩音ちゃん、」

 あ、きちゃん、
 どうしたの、そんな悲しい顔であたしを見ないで。何故か秋ちゃんの顔だけははっきりと見える。視界は相変わらずぼやけたまま、だけど、悲しそうな秋ちゃんだけが見える。
 苦しいの、痛いの、見えないの。様々な想いが交差するけど、あたし、まだ秋ちゃんに手を伸ばせない。秋ちゃんは笑う、わらう。悲しそうに笑う。

「……ごめんね」

 ぽたり、と雫が頬を濡らす。秋ちゃん、どうして泣いてるの? ねえ、秋ちゃん、泣かないで。そんな顔されても、困るよ。

「大好きだった」

 ぐ、と秋ちゃんの手に、あたしの首に、力が籠められる。漸く状況を理解してあたしは乾いた笑い声をあげた。あはは、と力無く笑った。あたし、死ぬんだ。でもね、秋ちゃん、あたし、秋ちゃんのこと嫌いじゃなかったんだけどなあ。
 好き、と聞かれれば口ごもっちゃうけど。ねえ、秋ちゃん、後悔しない? あたしは殺されても平気。後悔なんてしないよ。でもね、秋ちゃんが後悔するんなら辞めた方がいいと思うんだ。だからね、あたしが自分で死ねばいいの。そうすれば秋ちゃんも救われるの。
 ぱく、と口が動く。でも、言葉が出てこなかった。






(とどかなかった、そんざい)