二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

晒された素肌に愛を、 ( No.72 )
日時: 2013/09/22 19:53
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: pvHn5xI8)

(※気持ちR-12)
カーテンに遮光され、光の一切入らない広い室内に絶え間なく声が響き渡る。苦しんでいるようにも悦んでいるようにも聞こえる声にぐっと眉をひそめた彼は、甲高い声を発する喉元にがぶりと噛みついた。途端に苦しそうに呻くような声が漏れ、嬌声はどこかに消える。白くて細いこの喉を噛み千切ってもよかったかもしれない。男は歯型のついた喉をぺろりと赤い舌でなめると、女の脚をぐっと持ち直してにやりと笑った。この暗がりでは彼の顔が見えない。それがどれほど寂しいことなのか、彼は知らない。女は涙で滲む視界で必死に男の顔を捉える。男は女を道具だと勘違いしているのだ。自身の欲求を満たすだけの、あの女の代わりにしかなれない道具だと。
「——は、ァあ、!」
溜息と共に腰が跳ねる。女はひくひくと喉を震わせて、声なくして叫んだ。同時に男も深い溜息を吐く。女の脚を柔らかいベッドに優しく下ろし、そして後悔するように顔をゆがめた。そして、上に覆いかぶさる男の首元に抱きついた女は困ったように笑う。自身を散々荒らしておいて、この男はいつも後悔したように笑うのだから、困ったものだ。嫌いだと思う反面、自分も他の男とこの男を重ねている。お互いに犯している罪は同じ。男から離れられない理由は、それであった。女は長い髪を散らせて男から腕を離すと、すぐ傍にある男の頬に手を添える。この暗がりでは、顔は見えない。そうわかっていながら、女は涙にぬれた顔で、やさしく微笑んだ。心に穴が空いている気がする。自分を取り繕うことに、疲れてしまった気がする。
「おやすみなさい」
「……ああ」
そっと口付けを施して、女は瞳を閉じる。瞼の裏に焼き付いて離れないのは、風のように駆ける"少年"の姿だった。男が女の顔に重ねるのは、いつも笑顔で幼馴染想いな"少女"の姿だった。あの時から、二人はいつまでたっても今の場所から動けていない。大人になってしまった自分たちを、彼らを否定するように、小さなつながりを求めている。二人の間を繋ぐ細くて脆くて弱い糸を切ってしまえば、きっと二人は二度と浮き上がってはこれないだろう。
 (崩れそうな関係に飽いを、——切れ掛かった糸に、哀を。)




昼ドラの見過ぎかしら…敢えて誰か言わない。(!)そしてこれは後の黒歴史となる…