二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

六羽目 ( No.13 )
日時: 2011/09/02 17:33
名前: 和華 (ID: hoeZ6M68)

休み時間—といっても、授業と授業の10分間休みのことでした。
案の定私の机の周りには人だかりができました。
三人と別れる前に、

「この時期の転校生なんぞ珍しいから、覚悟しとけ」

と言われました。
今ならその言葉の意味が十分理解できました。

「茅原君、前はどこの学校だったの?」

「この時期に転入って、めずらしいよねー!!」

「なんか可愛いね、女の子みたい!」

「わた…僕は男ですよ!!」

あやうく、私といいそうになりました。
そのあと、私は次々と飛んでくる質問を、(多分)うまいことごまかしていきました。
ふと、隣の席の奥村さんが居なくなっていることがわかりました。

「あのあの、奥村さんどこにいったんですか?もう授業始まっちゃいます…」

そう尋ねると、一人の女子生徒が答えてくれました。

「あぁ、奥村君?わかんないけど、きっと屋上だよ。
 あの子とは関わらないほうがいいよ?入学初日からなんか変だったし…。
 まともにあの子と話してるのって、李乃しか居ないんじゃない?」

「リノ…さん?」

「そ、栗原李乃。いつもは元気なんだけどさ、アイツ、今日に限って体調悪いって。明日にはくると思うよ?」

「あとは渚君かなー。でも渚君も怖いよね…。なんかいつもにらんでるみたいでさー…」

「そうなん…ですか…」

奥村さんは、いわゆる「不良」というものなのでしょうか?
私はなんとなく彼のことが気になってきました。
と、いうのも、もちろん恋愛感情の方ではなく、ただ単純に気になっただけです。

みんなは奥村さんのことをあまりよく思ってないみたいですけど、
私には、彼がそんな人間にはとても見えませんでした。


昼休みになりました。
相変わらず私の机の周りには人があつまっています。
すると、一人の男子生徒が私のところへやってきました。

「…茅原、勝呂達がよんでる。」

そういって、彼は私をにらみました。
単に目つきが悪いだけなのかもしれませんが…。

「あ、ありがとう、ございます。えぇと…」

「伊禮渚。」

そういって彼は自分の席に戻りました。
私はそんな伊禮さんを横目に、勝呂さんたちの元へ駆けました。

「おつかれー、隼くん」

志摩さんがそういって笑いかけていました。

「茅原さん、このクラスではやっていけそうですか?」

「はい、皆優しいです。」

私は、ふと、奥村さんのことを思いました。
彼はまだ屋上にいるのでしょうか…。

「あのあの、勝呂さん。」

「? どないしてん」

「屋上って、どこですか?」

わたしは、奥村さんと話をしてみることにしました。