二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

七羽目 ( No.18 )
日時: 2011/09/06 19:35
名前: 和華 (ID: gPFHbtSu)
参照: http://fblg.jp/sasuyuki/

屋上の扉をひらくと、ゴウっと風が吹きました。
少し強めの風が私の短い髪をなびかせます。

風でくしゃくしゃになった髪の毛を軽くとかしつつ、私は奥村さんの姿を探しました。

すると、はしの方に、何かが横たわっています。
刀をいれる赤い袋。短い黒髪。

「あのあの…、奥村、さん…ですか?」

「あ?」

私が奥村さんに話しかけると、不抜けた声で返事をしました。
私は隣に腰掛けました。

それからは、ただ沈黙が続きました。


「…お前、俺が恐くねぇのか?」

「へ?」

こんどは私が不抜けた声を漏らします。
恐い…?

「なんで、ですか?」

理由を聞くと、奥村さんは少し困ったような顔をして、

「ほら、俺って目付きあんまり良くねーし、不良みたいってよく言われるし…」

そうブツブツとつぶやきました。
私は、正直いって、奥村さんよりも、一緒の部屋の勝呂さんのほうが恐いとおもいました。
もちろん、勝呂さんはそんな人ではありませんが…。

「見た目だと、勝呂さんの方が恐いです…」

頭で考えてたはずが、いつのまにやら口にでていて、思わず口を塞ぎました。
すると、奥村さんはヘラっとわらって、

「たしかに、勝呂にはかなわねぇな」

と言いました。

「え、あ、あのあの、勝呂さんのお友達、ですか?」

「んー?友達じゃねぇかもな。あいつ、塾の初日からずっとガンとばしてきてよー」

「塾、てもしかして…祓魔塾…?」

私が祓魔塾という単語を口にしたとたん、奥村さんはガバっと起き上がりました。
少しびっくりしました。

「お前、もしかして祓魔師になりたいのか!?」

「は、はい。今日から、祓魔塾に入ることになってます。」

すると、奥村さんは目を輝かせながらこう言いました。

「俺、奥村燐!俺も祓魔師になるんだ!!おまえは!?」

「え、えとえと、僕は茅原な…隼です。」

一瞬、凪と言いかけてしまいました。
やはり隼という名前にはなれません。

「どうぞ気軽に、チハとでもおよびください。」

私は苗字が「茅原」なので、そこから「チハ」と呼んでもらう事にしました。

「おう、よろしくな、チハ!!」

そう言って奥村さんはにっこりと笑いかけてくさました。
昼休みの終わりを告げるチャイムがなりました。
私は授業を受けるべく、教室へ戻ろうとしました。

「奥村さん、行きましょう」

「おう!」

私が差し伸べた手を、しっかりと握って
彼は立ち上がりました。