二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

八羽目 ( No.20 )
日時: 2011/09/09 16:28
名前: 和華 (ID: hoeZ6M68)

「奥村ァ!?」

帰り道。
私は勝呂さんたちと合流し、一旦寮へ戻ります。
その途中、今日の屋上のことをちらっと話しました。

…話したのですが、勝呂さんが極端に嫌そうな顔をしました。

「え、え!?あのあの、私何か変なこと言いましたか?」

「ハハ、違うんよ凪ちゃん。坊な、何かよぉしらんけど奥村君のこと良ぉ思ってないんよー」

「なんなんでしょうねぇ。同族嫌悪っちゅー奴ですか?」

「誰があんなチャランポランと同族やねん!!」

子猫さんの言葉に勝呂さんが声をあげました。
それから、フーっと息を吐いて、少し落ち着きを取り戻します。

「あいつはな、初日からずーっと寝とったり話聞いてなかったり問題おこしよったり…。
あぁーもう何なんや!!一体アイツは祓魔塾に何しにきてんねや!!」

「坊、落ち着いてぇ…」

志摩さんが勝呂さんをなだめます。
…どうやら二人は相当仲が悪いようです。

「あのあの、なんか、その…ごめんなさい。」

「あー、凪ちゃんが悪いんと違いますよー。」

そういって志摩さんが笑いました。
そうこうしているうちに、男子寮につきました。

「ふぃー!!づがれだー!!」

「これから塾がありますよ」

志摩さんが部屋に着くなり転がりながらだるそうに叫びます。
私はとりあえず自分の荷物を机に置き、かばんを空けたら、

白いムク犬が入っていました。

「うぁあああああああ!?」

「茅原!?どうしてん」

ムク犬がピョコンとかばんの中から出てきました。

「おや、紳士に向かっていきなり叫ぶとはなかなか関心なりませんね☆」

「しゃべっとる!?坊!!犬がしゃべっとりますよ!!」

「私ですよ、ワ・タ・ク・シ☆」

そういった瞬間、ポンっと爽快な音がしました。
ピンクの煙と共に現れたのは、紛れ無なくメフィストさんでした。

「グーテンターク(こんにちは)皆さん。」

「えぇええ!?理事長!?」

メフィストさんはパチンとウインクをして、挨拶をします。
左手にはカギのようなものを持っています。

「今日は茅原さんに用があってやってまいりました。
 私としたことが、「塾のカギ」を渡すのを忘れてしまいましてね、お届けに参りました♪」

そういって私にカギを投げ渡しました。

「そのカギさえあれば、何時でも何処のドアからでも塾へいけます。
 そうそう、あなたのかばんの中に、塾で必要なものはすべて入れておきましたので、あしからず☆」

私はかばんの中身を確認しました。
すると、見覚えのない参考書がたくさん入っています。
…だからやけにかばんが重かったのか

「…………今年の訓練生は、本当におもしろい…」

小さい声でしたが、メフィストさんがつぶやきました。
言葉の真意が知りたくて、話しかけようとしましたが、
彼はパッといつもの態度に戻り、

「ではゼーエンヴィアウンスヴィーダー(また会いましょう)☆」

再びポンっと爽快な音が鳴ると、消えていました。

「僕、理事長さんが何者か全くわからへんのですけど…」

「安心せぇ、俺もや。」

メフィストさんがいなくなった部屋で、私たちはただポカーンと突っ立っていました。