二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

十羽目 ( No.28 )
日時: 2011/09/13 19:54
名前: 和華 (ID: imuS2CMi)
参照: http://id15.fm-p.jp/data/301/sayuki302/pri/86.jpg

〜悪魔学〜

「腐の王アスタロトの眷属で最下級の悪魔の名前は?…奥村!」

「えっ!あー…えー—…と、見たことないもんで、その」

魍魎コールタールだ!そこらに浮いてるだろ!」

「す、すんません…」

奥村さんがシュンと頭を下げると、斜め前の勝呂さんが舌打ちをしました。
…奥村さんに対して苛立ちを感じているそうです

〜グリモア学〜

「グリモアとは十五世紀から十八世紀にかけ生み出された…」

先生の説明を要約してノートに移します。
奥村さんに目をやると、…うつらうつらと眠りそうに首を上下させていました。

「悪魔召喚や使役などの魔術に関する文章を著す…」

あ、奥村さん完全に眠りました。
そして夢でも見ているのでしょうか、ニヘラっと笑いました

次の瞬間、ボキィっと斜め前から何かが折れる音がしました。
あ、勝呂さんのシャーペンですね、きれいにまっぷたつです。

〜悪魔薬学〜
薬学の担当は奥村さんの弟さんの奥村先生でした。
なんでも先生は十三才で祓魔師になったとか。

何分か学習をしたあとに、カバンから紙を数枚取り出し、

「それでは、この間の小テストを返します」

と言いました。

「志摩くん」

「ほぉい」

志摩さんが席をたち、奥村先生の所にむかいます。
しばらくして、戻ってきました。

「どうやった?」

勝呂さんがそうきいても、志摩さんはただ笑っているだけでした。
続いて、神木さん、子猫さん、宝さん、山田さん、朴さん、杜山さんとよばれました。
そして、奥村さんが呼ばれました。

「胃が痛いよ……」

奥村先生が「どうする気なの、それ…」とつぶやきながらメガネの淵をあげました。
奥村さんは「……スンマセン」とつぶやきます。
ちらっと点数がみえたのですが、紛れも無く「2点」でした。

「勝呂くん」

「はい!」

がたっと勢いよく勝呂さんが立ち上がりました。
奥村さんとすれ違った時、なにかポツリとつぶやいていました。

「よく頑張りましたね、勝呂くん」

勝呂さんは笑顔でそう告げる奥村先生から答案用紙を受け取りました。
そして、プククと笑いながら、奥村さんに自分の答案用紙を見せます。
…点数は「98点」でした。


「ばばばかな、お前みてーな見た目の奴が98点とれるはずが…
 常識的に考えてありえねーよ」

奥村さんがサラっとひどいことをいいました。
案の定勝呂さんは怒ります

「なんやと!?俺はな、祓魔師の資格得る為に本気で塾に勉強しに来たんや!!
 塾におんのはみんな真面目に祓魔師目指してはる人だけや!
 お前みたいな意識の低い奴、目障りやから早よ出ていけ!!」

「な…何の権限でいってんだこのトサカ!
 俺だってこれでも一応目指してんだよ!!」

奥村さんも言い返します。
このままでは喧嘩に…

「アカン、行くで!」

志摩さんと子猫さんが勝呂さんを止めに向かいました。
私もいかなきゃ…!!

「ぼ、坊…落ち着いて…」

「お前が授業まともに受けとるとこ見たことないし!!」

「授業中ですよぉ坊…。どうどう」

「いっつも寝とるやんか!!」

「す、勝呂さん、あのあの、僕は喧嘩は良くないと思います!!」

そういって三人がかりで勝呂さんを席に戻します。
奥村さんは先生に羽交い締めにされていました」

「お、俺は実戦派なんだ!!体動かさないで覚えんの苦手なんだよ!」

「うんうん、勝呂くんの言う通りだ。…どんどん言ってやってくださいね」

「だぁッー———!お前どっちの味方だ!!触んな、バカ!」

「さて、どっちでしょうか…おっと」

授業の終を告げる予鈴が響きました。

「今日の授業はここまで。間違えたところはよく復習しておくように」

そういって笑顔で奥村先生が教室を出ていきます。
勝呂さんも少しは落ち着いたようでした。