二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

三羽目 ( No.4 )
日時: 2011/09/15 19:52
名前: 和華 (ID: imuS2CMi)
参照: http://fblg.jp/sasuyuki/

「…?茅原さん…」

「兄は、私と18も年が離れています。

 兄は詠唱騎士の資格を持つ祓魔師でした。

 私は兄と直接あったことはありません。

 母は言いました。

 『あなたが生まれる前の青い夜の日、彼は私を守って死んだのよ』と。
 私はサタンを許しません。

 私は—」

耳鳴りのような音が消えました。
体中の力が抜けて、カクンと膝をつきました。

「茅原さん!」

「大丈夫です。大丈夫……」

いつのまにか、兄の存在を思い出していました。
写真でしか見たことのない兄の存在を。
母と、お腹の中にいた私を守って亡くなった兄の存在を—

「あの、私—」

「お兄さんが、青い夜でお亡くなりになられたのですか…。
 それはそれは…、ご哀愁様です。」

「そうか、お前も青い夜で親族を亡くしとるんか…」

勝呂竜士さんがそういいました。
…『お前も』?

「俺らもな、青い夜で家族亡くしとるんよ。
 そんでもってな、ウチの寺が「祟り寺」言われるようになってもうて」

「坊は打倒サタンを掲げて寺を立ち直すために祓魔師目指しとるんですよ」

サタンは—
たった一晩で、多くの人たちを殺してしまった。
みんなの大切な人たちを、いとも簡単に———

「…さない…」

「茅原さん?」

「私も…私も、サタンを許しません!!
 皆の大切な人たちを、いとも簡単に…ッ!!」

私は泣いていました。
涙が止まりません。
そんな私を、三人は励ましてくれました。

私は涙を拭いました。
拭っても拭っても、涙は止まりません。

「なら、貴方も祓魔師になればいい。」

気がつくと、顔のすぐ前にメフィストさんの顔が有りました。
私はびっくりして思わずあとずさってしまいました。

「あなたも祓魔塾に入り、この三人やほかの生徒たちと一緒に祓魔師を目指せばいいではありませんか。」

そういってメフィストさんは両手を広げてどこかを見上げていました。
…なにをみているんだろう。

「で、でもでも、どうやって通えばいいんですか?
 その、私は帰る場所がわかりません…」

私は、いくら思い出そうとしても、自分の家がわかりません。
さっき兄のことを思い出した時のように、耳鳴りもしなければ、
スラスラと言葉がでてくるわけでもありませんでした。

「なら彼らの部屋を借りればいいではないですか☆」

「「「はい!?」」」

私がコメントする前に三人が口を開きました。
息ピッタリです。

「理事長、なにいうてるんですか!?コイツ女ですよ!?
 俺らはともかく、こいつと志摩を同じ部屋にするなんて危険やないですか!!」

「坊酷い!それどないな意味ですか!?」

「お前が煩悩の塊いうことや。」

皆さんが一斉に騒ぎ出しました。

「理事長はん、なんで僕らの部屋なんです?
 女子寮じゃいけまへんのですか?」

「あいにく女子寮は満帆です。
 それに、寮は4人部屋ですよ?あなたたちは三人。
 …茅原さんが入ればちょうどぴったりではないですか☆」

「う…。それは…そうですけど…、どないします?坊」

三人が悩んでいます。
なんか少し罪悪感を覚えました。

「あ、あのあの、私、その、みなさんに迷惑掛けたくないんです。」

「………」

「私のことはいいです、しばらくすれば、記憶ももどると…」

「俺らに迷惑がかかるから悩んでるんとちゃうわ!
 志摩がお前に迷惑かけるから悩んどるんや!!」

「坊酷い!!」

勝呂竜士さんが声をあげました。
続いて、志摩廉造さんが声をあげました。

「いいか、少なくとも俺は、お前が俺らの部屋にくることで迷惑や、なんてこれっぽっちも思わへん!
 せやけど、おれらの部屋には、志摩っちゅーどーしようもない変態がいてな?
 志摩がお前に迷惑をかけるんやないかー思っとるだけや!!」

「坊、そろそろ俺泣きますけどいいですか?」

迷惑だなんておもわない。勝呂竜士さんが嬉しいことをいってくれました。
そのよこで志摩廉造さんが目に涙を貯めていたけれど、それは見なかったことにしました。

「そうですよ、茅原さん。煩悩の塊がいてもええなら、僕たちの部屋に居てもええんですよ?」

「うわあああん!!子猫さんまで!子猫さんまでそないなこと言うんですか!?
 凪ちゃん、大丈夫やで!俺なんもせぇへんよ!!信じてぇな!!」

三輪子猫丸君も、志摩廉造くんもそう言ってくれました。

「み、皆さんがそう言ってくれるなら、しばらくの間…
 皆さんのお部屋にお邪魔してもいいんですね…?」

おそるおそる訪ねてみました。
すると、彼らは笑って頷いてくれました。

こうして私は、正十字町でくらすことになったのです。