二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 貴方なら、どう攻略する?【霧野蘭丸root】 ( No.4 )
- 日時: 2012/01/08 21:03
- 名前: Chaos;ほだす ◆w6bR1QqEtU (ID: yTgpXhnH)
〈霧野蘭丸root. Episode1〉
「ここが、雷門か……。デカいガッコ」
少女——日向未律は、今日から転入することになった雷門中学の前に立っていた。
だが、おそらく、彼女を『少女』だと認識できる人物は誰ひとりとしていないだろう。
何故なら——。
「なああああ!! 学ランっつーモンはなんでこんなに動きにくいかなぁ」
彼女が学ランという、男子生徒が着用する制服を身に纏っているからである。
何故、日向が学ランを着ているのか。
それは——と言って語れるほど、これといって深い意味はないのだ。
ただ、これを着て行って何人自分が女だと気づくか? というのを実験してみたかっただけなのだ。
実際、生まれてこの方、初対面で女だと認識されたことも、女扱いされたことも全くない。
「さあて。あたしとの賭けに勝てるヤツはいんのかな、と」
ワクワクしながら、門をくぐった——その瞬間。
「んッ?! 同業者??」
——学ランを着た、女がいた。見間違いだと思って、目をこすった。瞬かせた。
見間違いなどではなかった。——やっぱり女だ。
女は、ピンク色の髪を低い位置でツインテールにしており、突き通るような碧い瞳は、彼女の端正な顔立ちによく似合っていた。
「おっもしれぇ! なあ、お前も男装してんのか?!」
同じ事をしているバカがいて、余程嬉しかったのか、日向は手をブンブンと振りながら、ピンクの女に接近する。
すると、その声に反応して、女もまた歩き出した。そして——。
「俺は!! 俺は女じゃなああああああい!!!!」
校舎の窓が揺れて、割れてしまいそうなくらいの大声で怒鳴り、去っていった。
去り際に、女——否、男は言った。
「俺は、男! 霧野蘭丸だ!!」
「お、おう……」
日向は、霧野蘭丸と名乗った男に気圧されつつ、歩を強めて、新しい校舎へと向かった。
「霧野蘭丸……。アイツ、何だったんだ?」