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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 貴方なら、どう攻略する?【剣城京介root】 ( No.26 )
- 日時: 2012/02/18 10:38
- 名前: macra;ほだす ◆w6bR1QqEtU (ID: DoyHUJg.)
〈剣城京介root.Episode1〉
「天使——?」
「そう、天使だよ」
——兄さんはいつも、彼女のことを——天使——だと言った。
「いつも傍にいて、元気をくれたんだ。……その子は、風前の灯——消えそうな生命だった」
——儚く、触れれば消えてしまいそうで——一刻の幸福のようなものだと。
——逢いたい。逢ってみたい。兄さんの支えになった、その天使に。
*
ふわり。
「ふわああああ……!! おちる!!!」
俺が、学校の階段を登っていると、女生徒の高く、耳をつんざくような叫び声が聞こえた。
前を向いてみると、小柄な女生徒が下りの階段で、足を踏み外していた。
……女生徒? ——否、違う。
堕——lost——天——angel——使?
俺は、天使が堕ちてきたと思った。
『——儚く、触れれば消えてしまいそうで——一刻の幸福のようなものだ』
「ほぇっ? おちて……ない?」
俺が、彼女に見とれている間に、その天使は俺の腕の中にいた。
「……え」
俺は、ゆっくりとその女生徒を下ろすと、まじまじと顔を見た。……こんな生徒、同じ学年にいただろうか? 夏だというのに、暑苦しいブラウスを羽織っており、いくら周りのことをあまり気にしないとはいえ、こんなに目立つ格好をした生徒に気づかないということはないだろう。
「え、えと……その……たすけてくれて、ありがとう。それじゃ、いそぐから……!!」
すると、女生徒は礼を言うと、逃げるようにして去っていった。
——一刻の幸福の如く。
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