二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 貴方なら、どう攻略する?【剣城京介root】 ( No.36 )
日時: 2012/02/28 19:56
名前: macra;ほだす ◆w6bR1QqEtU (ID: 8gvA/W.A)

〈剣城京介root.Episode5.〉

 「あ。たいちー。よに、今から、きょうすけくんとびょういんにいってくるね。かえりも送ってもらうよー」
 「え? ああ……わかった。気を付けろよー」
 帰り際、陽丹は一応三国に声をかけた。
 「きょうすけくん。かってにいっちゃったけど……送ってもらってもいいかな?」
 「そのつもりです」
 「わーい、ありがとー」
 京介の了承も得ると、最後に三国に——
 「たいち。じゃーじありがとー。ぽかぽかだったよー」
 そう言うと、京介と共に部室を後にした。

 「ぽかぽか……か」
 ジャージにはまだ、彼女の温もりが残っていた。







 「……三国先輩、やけに心配するんですね」
 病院へ向かう道、京介は呟くように言った。それに返ってきたのは、以外な答だった。
 「よにだって、そこまでどんかんじゃないよ。……たいちのきもちくらい、きづいてる。でも……たいちはだいじなひとだから、めいわくはかけられないよ」
 「……?」
 京介には、良く意味が解らなかった。
 「三国先輩は、世話したいタイプだと思いますけどね」
 「だからだよ」
 即答だった。
 「……たいちはめんどうみがいいから、いつもよにのことみててくれた。でもね、よには……たいちのことまもれないから」
 そっとその横顔を覗きみると、そこには辛そうな表情。
 「ささえることも、まもることも……」
 泣きそうなのか、吐く息は震えている。
 「兄さんは、架場先輩のこと『生きる支えになった』と言っていました。……何の力にもなれない、なんてこと無いと思います」
 静かな静かな夜道。二人の話し声だけが響く。
 「自分にとっての天使だ、と。……俺も実際、架場先輩が階段から落ちてきた時、天使が堕ちてきたと思いました」
 「だてんし、か……」
 京介は、話をそれとなく逸らそうとしているようだ。陽丹も気づいているのだろうが、空気の悪さを感じて乗っているのかもしれない。
 「ねぇ、『だてんし』は、おちたてんし。……おちたてんしは、なんになるか……しってる?」
 「……?」
 だんだんと、話がネガティブ方向に向かっているのが解った。
 「あくま、だよ。……てんしはおちれば——おとされれば、あくまになるってかんがえられてる。だてんしは、てんしなんかじゃない。——あくまだよ」
 京介には陽丹に言わんとしていることが解ってきた。
 「あくまは、ふこうとか、わるいことしかよばない。よばないんじゃなくて、『よべない』んだ」


 『よにには、だれかをしあわせにするちからなんてないんだ』