二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 貴方なら、どう攻略する?【剣城京介root】 ( No.36 )
- 日時: 2012/02/28 19:56
- 名前: macra;ほだす ◆w6bR1QqEtU (ID: 8gvA/W.A)
〈剣城京介root.Episode5.〉
「あ。たいちー。よに、今から、きょうすけくんとびょういんにいってくるね。かえりも送ってもらうよー」
「え? ああ……わかった。気を付けろよー」
帰り際、陽丹は一応三国に声をかけた。
「きょうすけくん。かってにいっちゃったけど……送ってもらってもいいかな?」
「そのつもりです」
「わーい、ありがとー」
京介の了承も得ると、最後に三国に——
「たいち。じゃーじありがとー。ぽかぽかだったよー」
そう言うと、京介と共に部室を後にした。
「ぽかぽか……か」
ジャージにはまだ、彼女の温もりが残っていた。
*
「……三国先輩、やけに心配するんですね」
病院へ向かう道、京介は呟くように言った。それに返ってきたのは、以外な答だった。
「よにだって、そこまでどんかんじゃないよ。……たいちのきもちくらい、きづいてる。でも……たいちはだいじなひとだから、めいわくはかけられないよ」
「……?」
京介には、良く意味が解らなかった。
「三国先輩は、世話したいタイプだと思いますけどね」
「だからだよ」
即答だった。
「……たいちはめんどうみがいいから、いつもよにのことみててくれた。でもね、よには……たいちのことまもれないから」
そっとその横顔を覗きみると、そこには辛そうな表情。
「ささえることも、まもることも……」
泣きそうなのか、吐く息は震えている。
「兄さんは、架場先輩のこと『生きる支えになった』と言っていました。……何の力にもなれない、なんてこと無いと思います」
静かな静かな夜道。二人の話し声だけが響く。
「自分にとっての天使だ、と。……俺も実際、架場先輩が階段から落ちてきた時、天使が堕ちてきたと思いました」
「だてんし、か……」
京介は、話をそれとなく逸らそうとしているようだ。陽丹も気づいているのだろうが、空気の悪さを感じて乗っているのかもしれない。
「ねぇ、『だてんし』は、おちたてんし。……おちたてんしは、なんになるか……しってる?」
「……?」
だんだんと、話がネガティブ方向に向かっているのが解った。
「あくま、だよ。……てんしはおちれば——おとされれば、あくまになるってかんがえられてる。だてんしは、てんしなんかじゃない。——あくまだよ」
京介には陽丹に言わんとしていることが解ってきた。
「あくまは、ふこうとか、わるいことしかよばない。よばないんじゃなくて、『よべない』んだ」
『よにには、だれかをしあわせにするちからなんてないんだ』