二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 貴方なら、どう攻略する?【剣城京介root】 ( No.45 )
日時: 2012/03/11 20:57
名前: macra;ほだす ◆w6bR1QqEtU (ID: 8gvA/W.A)

〈剣城京介root.Episode8.三国太一Side〉

 一夜明け——翌朝。

 「たいちー、おはようごじゃいましゅ……」
 「陽丹、起きてるかー?」
 三国は、半分眠ったまま靴を引っ掛けている陽丹の肩を、揺すった。
 「……はっ!! よには、おきてるもんね……」
 いきなり、肩をびくっと震わせると、目をぱっと開いた。——起きているとアピールしているのだろう。
 「ボタン……ずれてるから」
 これは、いつものやり取りだ。
 ずれているのはブラウスのボタンではなく……カッターシャツのボタン。肌が露になっており、非常に無防備だ。
 「ありゃ……また、やっちゃった」
 家の前で鞄を置き、ボタンに手をかける。
 「待て待て待て……待てって」
 三国は、顔を真っ赤にしてそれを阻止する。
 「……? なんで?」
 「何でって……はぁ」
 要するに三国は、ここでボタンのずれを直す、ということは——ここで脱ぐも同然だ、と言いたいのだろう。いくら幼馴染とはいえ、相手は女の子だ。そんな姿を見せられたら、堪ったものではない。
 「家で直してこい」
 「……むぅ……はぁい……」
 陽丹は、この期に及んで気づいていないようで、不満ながらも、三国の指示に従った。




 
 「……にしても」
 ——彼女には、自覚がないのだろうか。
 「違う。……あいつは気づいてるんだ。気づいてて……」
 俺は、陽丹が好きだ。
……あの、ドジっ子でマヌケで、アホなところも全部。
 俺は、それを、悟られないように努めていた。この関係が崩れてしまうのも嫌だったし……何より。
 彼女は、俺の気持ちに気づいてる。気づいてて、知らないふりしてるんだ。
 
 [たいち、ありがと]

 あいつがいつも、俺に「ありがとう」と言うときは、決まって辛そうな顔をするんだ。
 きっと、俺が好きだといえば、彼女は苦しむ。
 きっと、誰かが好きだといえば、彼女は苦しむ。
 「……お前の傍にいられるだけで、十分だ」

 お前の傍で、お前の笑顔が見れて——その笑顏を守ることができるのならば……。

 ……なあ、陽丹。
 俺は、どうしたら——強くなれる?
 俺は、どうしたら——お前を守れるくらい、強くなれる?

 [よには、つよいこだから。たいちは、しんぱいしなくてもだいじょうぶ]

 お前は、いつだって……!!
 「強がんな、馬鹿……」

 俺だって、好きな子、守りたいんだ。——陽丹を、守りたいんだ。