二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 貴方なら、どう攻略する?【剣城京介root】 ( No.48 )
日時: 2012/03/14 21:03
名前: sicrama;ほだす ◆w6bR1QqEtU (ID: fNW8Dqgc)

〈剣城京介root.Episode9〉

 「おきがえかんりょー。……たいち。おまたせしました」
 「ご苦労様です」
 三国が物思いにふけっていると、陽丹が着替えを済ませて家から出てきた。——これで、やっと出発だ。
 「鍵閉めろよ」
 「…………わ、わかってるよ」
 今の間は何だ。





 「きのうはね、きょーすけに送ってもらったの。……いっぱいいっぱいお話したんだー」
 「そうか。良かったな」
 通学路。
 陽丹は、嬉しそうに昨日の出来事を話している。そんな彼女の姿をみて、三国も自然と笑みがこぼれる。
 「……でも」
 朝の。静かで。爽やかで。冷たい、冷たい。風。
 まるで、サウナの後の水風呂のように、綻んでいた彼女の顔は、冷淡な表情に変わる。
 「きょーすけは、まきこめないよ。……だって、もう。よにのたいせつなひとだから……」
 憐れみ。嘲り。冷淡。冷酷。無慈悲。諦め……。
今の彼女の表情には、いくつの負の感情が表れていただろうか。
 「たいち——ごめんね……」
 とてもとても、哀しくて——。自らの境遇を呪うかのように。
 「陽丹……」
 三国は、しょげかえった陽丹の頭をただただ、ポンポンと撫でた。……誰だって、欲している言葉はあるはずなのに。今は、そうすることしか……出来なかった。
 




 [ネエ、キョウハ……ドウシヨウカ?]
——これは、誰かの声。
 [トイレノミズヲブッカケルノハ?]
 [イインジャナイ]
——憎悪と。嫉妬とで形作られた。ヒトノカタチ。
 [ソロソロネタツキテキタヨネ]
——憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎。

 

 《アア、アンナヤツイナクナレバイイノニ》