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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 貴方なら、どう攻略する?【剣城京介root】 ( No.48 )
- 日時: 2012/03/14 21:03
- 名前: sicrama;ほだす ◆w6bR1QqEtU (ID: fNW8Dqgc)
〈剣城京介root.Episode9〉
「おきがえかんりょー。……たいち。おまたせしました」
「ご苦労様です」
三国が物思いにふけっていると、陽丹が着替えを済ませて家から出てきた。——これで、やっと出発だ。
「鍵閉めろよ」
「…………わ、わかってるよ」
今の間は何だ。
*
「きのうはね、きょーすけに送ってもらったの。……いっぱいいっぱいお話したんだー」
「そうか。良かったな」
通学路。
陽丹は、嬉しそうに昨日の出来事を話している。そんな彼女の姿をみて、三国も自然と笑みがこぼれる。
「……でも」
朝の。静かで。爽やかで。冷たい、冷たい。風。
まるで、サウナの後の水風呂のように、綻んでいた彼女の顔は、冷淡な表情に変わる。
「きょーすけは、まきこめないよ。……だって、もう。よにのたいせつなひとだから……」
憐れみ。嘲り。冷淡。冷酷。無慈悲。諦め……。
今の彼女の表情には、いくつの負の感情が表れていただろうか。
「たいち——ごめんね……」
とてもとても、哀しくて——。自らの境遇を呪うかのように。
「陽丹……」
三国は、しょげかえった陽丹の頭をただただ、ポンポンと撫でた。……誰だって、欲している言葉はあるはずなのに。今は、そうすることしか……出来なかった。
*
[ネエ、キョウハ……ドウシヨウカ?]
——これは、誰かの声。
[トイレノミズヲブッカケルノハ?]
[イインジャナイ]
——憎悪と。嫉妬とで形作られた。ヒトノカタチ。
[ソロソロネタツキテキタヨネ]
——憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎。
《アア、アンナヤツイナクナレバイイノニ》
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