二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 貴方なら、どう攻略する?【剣城京介root】 ( No.50 )
日時: 2012/03/21 21:31
名前: sicrama;ほだす ◆w6bR1QqEtU (ID: fNW8Dqgc)

〈剣城京介root.Episode11〉

 「よぉし……!! 今日こそは必殺技完成させるぞー!!!」
 放課後の部室では、各々が今日の練習での目標を立て、お互いを高めあっていた。
 「てんまくん、いいやる気だぁ。いい子だから、よにがよしよししちゃうぞー」
 ……そして、何故か架場陽丹がいた。
 「ぅわ……架場先輩っ……ひゃっ……」
 陽丹も天馬も天然な部分があるため、お互い波長があうようだ。天馬も頭を撫でられても、嫌がっている素振りではなかった。
 二人がきゃっきゃ言いながらじゃれ合っていると、その片方——陽丹の声が途切れた。
 「……ん、きゃッ……」
 どうやら、天馬の足に、自らの足を引っ掛けてしまったようだ。触れていた手が、離れた——。
 「…………ほぇっ? よに……こけてない…………」
 本人を含めて誰もが転けたと思ったのだが————ふわり。京介が、腕を貸したことによってそれは免れた。
 「大丈夫ですか」
 「きょ……すけ……」
 転けてもかすり傷を負うくらいで済んだのであろうが、それでも怖かったようだ。陽丹の口からは、息の詰まるような声が出た。
 「ありがと……きょーすけ……」
 「いえ……」
 いつかどこかで見た光景だな……と思いつつ、安堵の声を漏らすと、陽丹はすっぽりと京介の腕の中に収まった。







 その光景を遠巻きに眺めているものが幾人。
——一人は、もどかしさを感じている者。
 [ヨニ……オレダッテ、オマエヲ……]
——一人は、嫉妬する者。
 [アア、ハサバセンパイニハ、ツルギガ……]
——一人は、その姿に更に惹かれる者。
 [ハサバセンパイ……カワイイナ]

 ……でも。誰もが解っていた。——もう、彼女を浚える者は【剣城京介】唯一人しか居ないということを。

 ……誰も解っていなかった。——彼女の闇。彼女のこれからの選択を。
 

 そして。【剣城京介】の選択を——。