二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*質問等受付中! ( No.241 )
- 日時: 2011/10/06 17:37
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
第26話 部活動、それは選択
月「今日、退部届を出しに行きます。五十嵐さんの所に、連れて行ってくれませんか。」
いつもの挨拶の直後だった。神童が驚いて顔を上げる。
快晴の朝。朝食を食べるために2人で向き合っていた時の事。「退部」という言葉が軽く出た事に彼は驚きを隠せなかった。
前は自分がしようとした事だ。でも、だからこそ出来ればしてほしくない選択肢だった。
神「何で…退部なんか。」
月「兄様の時とは、状況が違うんです。色々、あるんです…」
神「…学校行って、大丈夫なのか?体調の方は…。」
挨拶をした直後に聞きたかった事を思い出して尋ねる。昨日は何かに怯えてああなってしまった様だった。
でも理由は神童達には教えてもらえなかった。
月「大丈夫です。」
コーンスープを飲み終えて、月乃が答える。食事の時は食べにくいからとポニーテールにされた髪を下ろして、席を立った。
神童もクロワッサンを食べ終えて「ごちそうさま」を言うと部屋へ戻る。荷物を取って家の門の前へ行くと、まだ月乃は居なかった。
庭の方を見ていれば来るのが分かるな、と思い庭を振り返る。と、表札の辺りにある傷を発見した。
——深い、えぐられた様な傷だった。
*
神「五十嵐いるか?」
五「!」
神童君、と口が動いた。五十嵐が気付くのを見て、彼が手を縦に振って「ちょっと来い」と呼ぶ。
彼女は隣のクラスで滅多に接する事が無い。ただ去年は同じクラスだった。…プリンと渡す時くらいしか話さなかったが。
五「!!月乃さん…」
月「部長、た(?「お前かッ!!!」
不意に廊下から大きな声がした。3人がそちらを振り向くと、長身で茶髪の少年が月乃を指さしていた。
げ、と五十嵐が声を漏らす。
?「我の妹の顔にボール当てた奴はぁぁ!!!!!」
五「静かにして原嶺凛音!」
神「男子テニス部部長…の原嶺か。」
この人シスコンで、と五十嵐が言う。彼の後ろから「お兄ちゃん!」という声が響く。高い声だった。
——妹の花音、月乃がボール出しの時に額にボールを当ててしまった少女である。
花「お兄ちゃん何してるの、勝手に行ったら困…部長!?お、おはようございますっ!!」
凛「何やってるってお前の顔にボール当てたや(花「月乃さんは悪くないって何回言ったら分かるの???!」
兄妹喧嘩が始まりそうだ、と神童が心の中で呟く。しかし五十嵐曰く妹が丸く収めて終わりなのだとか。
長くなりそうな雰囲気を感じ取ったのか月乃が口を開く。
月「五十嵐さん、退部届です。あの先生校舎内の何処に居るか分からないので部長に渡しておきます。」
五・花・凛「!!!?」
3人が驚いて目を見開いた。
月乃は退部届と書かれた紙を強引に部長の手に押し込んだ。と、「神童」と誰かが呼ぶ。
霧野だった。
霧「おはよ…ん?」
場の空気の急激な変化に気付いたのか、顔をしかめる。
五「月乃さん、」
月「用件はそれだけなので。」
失礼します、と頭を下げてその場を去ろうとした。霧野に気付き、「おはようございます」と挨拶をする。
五十嵐は自分の手の中の退部届を握り締めた。くしゃ、とたくさんのしわが入る。
五「月乃さん!」
しっかりと声を出した。流石にスルーする事は出来ない。
月乃が振り向くと、彼女の退部に満足できないらしい五十嵐が条件を付けて来た。
五「今週末の練習試合には出てもらうから!!」
月「…!!」
何で、と言おうと思って、でも声が出なかった。部長が真面目な顔で月乃を見据えていた。
五「それが嫌だったら、退部届は受理できない。」
答なんて直ぐに決まった。
月「分かりました。練習試合、行きます。」
どうなるか知らないけど、と心の中で付けたして。
*
歌「テニス部退部したって?」
教科書を取り出しながら、月乃は頷いた。どうやら原嶺部長が騒いでいたと有名になっている様だ。
歌「次、何処の部活に入るの?」
月「考えて無い、です…」
天「おはよ!」
月「……。」
もはや定番となったスルーブロック。(攻撃してるかもしれない)
月乃は空になったスクールバックを机の隣に掛けた。そして学級文庫の小説を取り出す。
もちろん天馬はめげない様だが。
彼女は本当に無視したい訳ではない。ただ、無視しなければ…自分が味わった、あの想いをさせてしまう。
そうなってほしく無かった。
今日も1日晴れそうな蒼い空が窓に映る。そして、また新しいハードルがあった。
————低くても無視できない、そんなハードル。