二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*質問等受付中! ( No.293 )
日時: 2011/10/09 11:40
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

コメ返しは、もう少々お待ち下さい。


第30話 抱きしめるのは、想いとボールと眠る力


目を見開いた。

振り返った先に立っていたのは、ニカ、と笑っている——

月「円堂、監督…」

嫌な気がしていて避けていたはずなのに、目の前で立たれてもあまり嫌な気がしなかった。

円堂は月乃が抱えるボールを見て、落ちてるの忘れてたから取りに来たんだ、と言う。彼女の方に歩き近付いて、今度は問いかけた。

円「…サッカー、好きか?」

円堂は、俯いて答えない彼女の脇を通って道路の向かい側に立つ。

月「……好きに、なれたと思います。」

小さく細い声で月乃は答えた。

円「そうか。」

また笑顔で彼は言う。月乃は想った。…サッカーを好きになると同時に、この人の事も好きになれたのではないか、と。

円「じゃあその想いをボールにぶつけてみろ!!」

月「…ぇ。」

円「俺に向かってシュートしてみろ!」

シュート。

月乃は腕の中にあるサッカーボールを見て足元に置いた。咄嗟の事をすぐに理解できるのも、ある意味彼女の才能かもしれない。

監督に向かって。

彼女はスクールバッグを少し離れた所に置いて、体と相談する様に深呼吸して目を閉じた。

ゆっくりと目を開け円堂を見据えると、左に体重を掛けて……。





神童が見たのは、月乃の隣を円堂が通った瞬間だった。

門まで来ると何故か月乃がボールを足元に置き、円堂が構えている姿が目に入った。もしかしてシュートするのか、と理解する。

助走はほんの2,3歩だった。


次の瞬間、ドカンと音がして、ボールが消えた様に思えた。円堂の右頬の隣にサッカーボールがある。

埋まっている。

円・神「———!!」

シュートしたんだ、と心の中で呟いた。神童が月乃を見ると、離れた所に置いてあったスクバを肩に掛け直している。

円堂が目を見開いて、ボールを壁から外した。何か呟いているが、神童達には声が小さ過ぎて聞こえなかった。

パラ、とコンクリートが零れ落ちる。

円「……すっげーな!!!月乃ッ!」

神「…月乃、何で…こんなシュートが…」

ようやく声が出ると、円堂らしい言葉と戸惑う言葉が。後者には、相当な戸惑いが見える。

そんな言葉達の返事は。


月「…タイミングさえ掴めれば、簡単な事です。」






デジャヴ。



そのシュートを受けたボールが、蹴った少女の姿が、雰囲気が、……何もかもが。

口から漏れた名前は、これと似た様なシュートを放ったある少女の名前。


円「…るり、か…」

樹海で見せたテクニック。
初めて知った強さ。
見た事もない強烈なシュート。

最強姉弟と称された流星姉弟の姉。


何で、こんなにも似ているのだろう。まるで生まれ変わりの様に、ふとした場面で同じ様な事をしてくれる。

そう思っていたけど、次の瞬間沸き上がったのは、純粋にすごいシュートに出会えた感動だった。

円「……すっげーな!!!月乃ッ!」


———どうして、こんなにも。


*つづく*
進まない…早く試合に入りたいです…