二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*参照1000突破!!! ( No.302 )
- 日時: 2011/10/10 04:08
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
第31話 人間界には罠が!!
月「…」
突然足を止めた月乃に合わせて、隣で歩いていた神童も止まった。彼女は真っ直ぐ前を見ていて、視線を辿ると見知った人物が現れた。
タイミングバッチリだな、と心の中で月乃に拍手を送る。
神「霧野…」
霧野蘭丸だった。
どうしたんだ、と聞こうとして複雑な表情をしている事に気付く。気まずい様な、慎重に言葉を選んでいる様な。
と、月乃が強く制服の袖を引っ張った。神童が月乃を見ると彼女は一歩前に出て振り返る。
月「…霧野さんと話をして帰りますね。」
霧「!」
神童が霧野の顔を見ると、相当驚いた表情をしていた。
霧「どうして分かったん…」
月「兄様、先に行ってて下さ…兄様?」
前にも同じ事があった様な気がする。あの時は何とも…無かったよな、と記憶をたどった。
神「ああ、分かった。霧野、終わったら月乃を家まで送ってくれ。」
霧野が頷いた。少し心配な部分もあったはあった、けど、あいつなら大丈夫だと言い聞かせて帰路に着く。
*
『月乃さんを見張っておいて』
ソフィアに言われて、了解した訳だけど…見失っちゃって…。
だってアルモニの姿で学校行ったらあの人の魂に見つかったんだもん!!!…もしかしてコレが八つ当たり??
アルモニの姿——制服姿。白を基調にしたブレザーの制服で、スカートが可愛いんだけど…
人間界では珍しい系だから絶対話しかけられるんだよ…つきのん見張るだけだから良いと思ってたけど。
剣城って人がつきのんの近くに居た時だなぁ…まさかピンク髪の人に話しかけられるとは予想外で、しかも魂あの人のだし。
神様、殴って良いですか。…本音だけど冗談です。
つきのんの気配を辿って細い路地まで来ると、思わず声をあげそうになった。
——あの人と一緒に居たから。
向かい合って何やら真剣に話してる。見張るだけなら出来そう…何やら悪い事してる気分になって来たけど?!
……ソフィア、如何しよう。
声がね、懐かしくて…心臓バクバクいってる……。
もうあの人じゃない、なんて……、あたしが1番良く分かってるのに。
*
月「逆らいたくない、だけど兄様の気持ちも痛いほど良く分かる、それで明日の試合どうしたら良いのか分からない。」
霧「そうなんだ。」
目を伏せて話す霧野は、本当に真面目に考えている。月乃は聞き手になって話を聞いていた。
フィフスセクターに逆らう神童達、しかし霧野はまだ従った方が良いという考えの側に居て、神童達を説得しようとしていた。
けれどそれは全く無意味で、逆に段々と彼等の考えに賛成する自分が強くなった。
月「…学校や部活、サッカーを続けたいから反対している。いつも自由にサッカーをしたいから、賛成している。」
霧「そう考えると、反対していた方が良い気がするんだ。時々でも自由にサッカーは出来るからな。」
月「いつも自由にサッカーができる事と、フィフスセクターが無くなる事はイコールだと私は思うんです。そうすれば学校も部活もサッカーも守れるんじゃないですか?」
霧「!」
月「…兄様は、風が吹いても嵐が来ても、舵を取り続ければ良いんです。———霧野さんも、船に乗りませんか。」
守りたいなら。
月「攻撃は、最大の防御ですから。」
貫けば良い、自分の想いを、自分が信じる未来を。
もしも未来を否定されたら、自分の想いを崩されてしまったら…直すか新しく作るかは、自分で決める事。
でも、可能性を提示する。
それが、本当の望みだと思うから……——。
霧「…分かった。」
本当の望みを叶えた時、今よりももっと笑顔になれる事を祈って。
*
——翌日。
会場は大盛り上がりだった。
フィフスセクターの頂点である聖帝イシドシュウジと、並んで画面を見つめる男がいた。
大画面に映るのは、雷門中のベンチ、そこに座る少女だった。下ろされた桜色の髪、きれいな瑠璃色の瞳が特徴的な月乃杏樹。
見つけた、と低い声で男は言う。聖帝が驚いて彼を見た。
まだ2回しか会ったことの無い男、しかし変なのはよく分かった。わざわざここまで来てコイツを探していただけなのか。
そう言えば剣城は動いて無いと気付く。あいつも慎重だな、と心の中で小さく笑った。
男「それでは…頑張れな。」
聖「ええ、いつもありがとうございます。」
過去に助けられた事がある、しかしまだまだ謎に満ちた男。
年齢が分からない上、住所も顔も知らない。それでも縁を切らないのは、男が賢く、また様々な面で優れていると思ったからだ。
聖(…だが……、好い加減危険過ぎる物になって来たか。)
ホーリーロード関東地区予選第2回戦、始まる。