二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*参照1000突破!!! ( No.324 )
- 日時: 2011/10/15 11:31
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
第34話 悪魔の目覚め
「心配していましたが、どうやらきちんと悪魔は来るようですね…」
ふふ、と小さく笑いながら黒いローブの者は言う。大きな椅子に腰かけた男も、思わず笑みをこぼす。
男「これで…手に入る事を祈ろう。」
——この世を支配する力を持つ、次の魔王を……
*
同点と同時に前半終了のホイッスルが鳴り響いた。
雷門イレブンは、驚いてシュートを決めた者の背中を見つめる。神童が立ち上がり、困惑した声で話しかけた。
神「お前…サッカーを潰すんじゃなかったのか?」
剣「…潰す。こんな腐ったサッカー、俺がこの手でぶっ潰す!!」
神「剣城……。!もしかして、」
監督の方を振り向く。笑顔で立っている監督を見て確信した。
神(円堂監督は…こうなる事を狙って、剣城を投入したのか!)
ベンチに戻ると、霧野は試合続行不可能と診断された。やられた右足が赤くなっている。
車田達は依然試合には関わらないと断言した。
僅か5人で勝利を目指すと神童も答えた物の、それがどんなに厳しいかは身を以て分かっている。
神「!…月乃は?」
ふと気付いた小さな異変。月乃がベンチに居ない。
歌「杏樹…は…」
歌音が辺りを見渡す。その動作と表情から歌音も知らないと言う事を神童は悟った。
水「…。」
神「……。」
天「キャプテン、後半始まりますよ!」
ああ、と答えてポジションに着こうと駆け出すも、不安になって後ろを振り返る。
監督が全く触れないと言う事は大丈夫と言う事なのだろうが…
神(…月乃は、一体どこに…?)
*
後半、試合に関わらないと言った5人を端に避けるフォーメーションで雷門は挑んだ。
しかし、剣城のデスソードはキーパーの化身によって止められ、更に光良の化身によって追加点も挙げられてしまう。
そして前半のラフプレーも加えられ三国が肉体的にも危うい。
歌「シード3人に化身使い2人…」
と、水鳥が静かに立つ。フィールドのライン近くまで行くと息を吸って大声で叫んだ。
水「お前たち、仲間じゃないのか!!!」
それは端に居る5人への喝だった。
フィフスセクターの事で色々ある、それでも彼等は仲間。
月『こんな時……』
前半の彼女の呟き。
月『仲間って、協力するんじゃないんですかね…、諦めの道を自分で選ぶんじゃなくて、協力して…』
前半、ラフプレーが丁度始まった時の事だった。
水「あいつ等がこんなに頑張ってんのに、何も感じないのかよ!!!!」
三国を心配して駆け寄る神童達。
その姿を見て、そしてボールを止める三国の気合の入り様を見て…まず初めに動いたのは、車田だった。
*
月「……」
ぎゅ、と唇をきつく結んでいた。覚悟を決めるかのような、表情だった。
月「…兄様も、霧野さんも……天馬さんも、きっと皆さんも…」
がんばってる、だから力になりたいと思う。
腹に手を当てて目を閉じた。小さく呼吸をして目を開ける。目の前の鏡に映る、黄色い姿。
月「勝ちに…行く。」
自分に言い聞かせて、彼女は廊下へ進む。
*
倉間もとうとうボールを蹴った。
反撃開始。車田、山城、速水、浜野が動き、そしてずっと立っているだけだった倉間も攻撃に加勢する。
フィールドに出ている10人全員が勝利を目指し始めた。
得点できないと1−2で雷門は負ける。と、磯崎に良い考えが浮かんだ。彼の耳に蘇る言葉。
『ただ、心の中で悪魔を呼べばいい。そうすれば悪魔は君に手を貸すだろう…』
磯「…」
悪魔、と呟く。
絶望を味わわせてやりたい、そうだ、そうすれば何も手こずる事は無いだろう。
磯(——…悪魔よ、俺の元に…来い!!!!)
裏切り者の剣城に、いきがっている天馬に、絶望を。
だから悪魔を呼んでやる。
*
テ「これで良い勝負になりそうだね!」
ラ「ええ。」
不意にソフィアが顔をしかめた。それから目を見開き絶句する。
息をのんだ。彼女が一番恐れていた事態、悪魔が動く予感を感じた。悪魔が動いたとすると…大きく人間界を歪めなくてはいけない。
ソ「…迂闊だった。」
色々あり過ぎてうまく頭が働かない。アルモニの仕事を間違えたかもしれない。
観客席がざわめく。
ソフィアが苦々しい表情でフィールドへ視線を移す。何かは分かっていた。
磯崎の纏う、黒いオーラ。
*
磯?「・・ふはははっ…!!」
光「?!」
赤い瞳が異様に輝いている。突然ボールをもったかと思うと豹変した態度に、フィールドプレイヤー達は困惑して彼を見た。
磯?「ああ…久し振りだ、こんなに暴れられそうなのは…」
神「っ!何だ、この禍々しい(まがまがしい)空気…」
衝撃波に似た風が巻き起こった。思わず腕で顔を覆う。
リフティングを始めた。天馬がボールを奪おうと果敢に挑む、と磯崎が天馬を睨む。
背筋を走る冷たい空気に天馬が一瞬ひるんだ。剣城がその様子を見て眉間にしわを寄せる。
似た光景を見た事がある気がして。
磯?「ははっ、思いっきりやってやるよ!!!」
空中に浮いたボールに左足をのめり込ませた。凄まじい音と衝撃波と黒い光。
全「!!!!!」
それは、フィールドを包み込む壮絶な物だった。
ゴールを包み込みそうな勢いだが、それは手前で止まっている。加減しているのだろうか。爆発に似た光景が広がる。
選手は衝撃波に耐えられずに飛ばされ、シュートはゴールを揺らした。
角「なっ…なんと!万能坂キャプテン磯崎の強烈なシュートで3−1!点差を2に広げましたぁぁ!!!!!!」
霧「…な、」
見ていた者全員が、絶句した。
ようやく体を起こした神童も唖然とした。あの時磯崎の近くに居た者は全員起き上がることすら困難そうにしている。
磯崎の周りには誰もいない。衝撃波でフィールドから追い出された者がほとんどだ。
神「……こんな相手に、どう立ち向かえと言うんだ…」
恐怖に彩られた追いかけっこ。
月「……」
立ち向かうは、1人の少女の巻き起こすカゼ。
*+*to be continued...*+*