二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*参照2000突破! ( No.485 )
日時: 2012/01/10 18:07
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

第47話 病室にて———2






『————————みんな、さようなら 』




微笑して落ちていった彼女の姿が、まぶたの裏に鮮明に蘇る。

この場面で魁渡に伝えて、大丈夫なのか。目を覚ましたばかりで幾ら元気とは言え、まだ現状を余り把握できていない彼に。

ティアラ達も考慮して伝えなかったのではないか。

魁渡「…鬼道?」

ためらっているのが、伝わってしまったらしい。

体を大きく前のめりにして、魁渡が俺の右腕を掴んだ。驚いて顔を見上げると、必死な表情をしている。

頼む、と言葉を紡いだ唇は震えて…。


鬼道「分かってるんだな。返ってくる答えを。」

魁渡「違う、良い答えじゃないって事しか分からない…。」

何故、と聞き返す。中途半端だ。

魁渡「だって……。ラティアもティアラも悲しそうな顔して返事を濁らせたんだ!医者も看護師も教えてくれないっ…」

鬼道「そんなに知りたいなら、心の準備は出来てるんだろうな。」

気付けば、そんな返事をしていた。魁渡の翡翠色の瞳が揺れ、それから決意したように頷く。


知りたいのなら、伝えよう。

———真実だけを。


鬼道「瑠璃花は、お前が槍に刺された翌日、お前の病室の窓から飛び降りて消えた。」









大きく目を見開いて、何も言えなくなった魁渡。


瞳が揺れる。

右腕を掴む手の力が、だんだん、だんだん、抜けていった。





面会時間終了を告げに医者が入って来た。

俯いたままの魁渡の手を掛け布団の上に戻し、ゆっくり休めと声をかける。

残酷だっただろうか。後に微かに震える魁渡の手のひらを思い出して、俺はそう思った。


俺が部屋を出る時も、魁渡は何も言わなかった。



だから、俺は謝っている。

悪かった、と。すまなかった、と。

———————————ずっとずっと、心の中で。




神童「月乃、大丈夫か?」

食事になかなか手を付けない月乃が、少し曇った顔を上げた。

違和感がある。いつも静かではあるが、今は本当に元気が無い感じだ。魁渡さんとの出来事が、そんなに堪えた(コタエタ)のだろうか。

あの時に魁渡さんが呼んだのは姉なのだと、車の中でラティアさんが教えてくれた。

流星瑠璃花、表では自殺した事になっているが本当は行方不明で、現在捜索中。

彼女の事は知っている。魁渡さんと同じくイナズマジャパンで活躍した人だ。決勝戦のプレイは何度見ても凄いと思う。

神童「あ…」

月乃「…兄様?」

瑠璃色の瞳。同じだ、月乃も瑠璃花さんも。

似ている。もしかしたら、魁渡さんはこの事を感じて、月乃の手を握って瑠璃花さんを呼んだのではないだろうか。

…まさか。







こうして、それぞれの夜が更けていく。