二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

For 水蓮寺雨音様 ( No.612 )
日時: 2012/06/11 23:58
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

昨日は私の最初のスレッドの2番目のお客様、そしてメル友の水蓮寺雨音様のバースデーでした!おめでとうございますっ!!
そして僭越ながら短編を書かせていただきます!
リクエストが神童君×月乃、そして月乃の誕生日という事だったので…

荒技を使い3000文字越え、無駄に長い短編をどう((ナンテコトヲ



*+*+* § *+*+*


【 HAPPY BIRTH DAY ! 】


生まれてきてくれて、ありがとう。自分の大切な人達に巡ってくる大事な記念日に、そう伝えたいと思うのは当たり前の事。

自分と共に戦ってくれる仲間に、自分と仲良くしてくれる友達に、切磋琢磨するライバルにも。

そして何より、自分を育ててくれ———支えてくれる家族達に。



鍵盤の上を滑るようにして音色を奏でる、血の繋がらない少女。ふと彼女の誕生日を知らない事を思い出した。

ピアノを黙々と弾き続ける彼女の邪魔をしないように、そっと部屋を出て父親の書斎に移動する。

確か、ここに彼女についてのデータがまとめて仕舞われていたはず。

目当てのファイルは目立つ所にあったため、すぐに見つける事が出来た。

めくっていくと、誕生日の欄が埋まっているのを見つけた。

誕生日は分かっていたのか、と安心したのも束の間。



神童「…!!?」


その数字に、俺は目を見開かずにはいられなかった。


*+* Can I say you, [Happy Birthday] ? *+*



「こちらのメイド服どうですか!!?かっわいいよねっ!!」
「………」

何なんだ、この人。

ハイテンションで黒と白のゴシック調の(ただヴィクトリアンメイドでは無い)服を勧めてくる、20前後の歳の女性。

というかこの人の来てる服もレースが多くてボリュームがあって…普通のドレスだ。

昼間からこんな服を着て、しかも家に来てメイド服を売ろうとするなんて色々すごいと思う。

神童「…あの、メイド服なら間にあってるので。」
「似合うよっ、あなたには絶対似合う!!」
神童「俺は女じゃありません!!!」

なぜ俺に着せると言う話に!?

「このメイド服より可愛いメイド服なんてないと思うよッ!!」

もしかして無視されたのだろうか。それに俺は別にメイド服が可愛いとか気にしない、だから別に…

「女子って可愛いのが好きなんだからっ!」

「…神童に女子の気持ちを言ったって、分かりませんよ。」

神童「!霧野っ!!」
霧野「…どんな売り込みにあ(「じゃあ女の子だから分かってくれるっ!?」
霧野「Σ!」

…こういうのを墓穴を掘るというのだろうか。

霧野は俺が呼んだんだ。だから出迎えようと思って門の所にいたらこの人が来てしまって…ああ、霧野が巻き込まれていく。

霧野「だから俺はっ…」
「ええ!?この髪型で男子って言われても説得力全然ないよっ!!?」
霧野「俺は雷門イレブンの…(「女子選手って杏樹ちゃんの他にもいたのっ!?」

門の外で繰り広げられる…戦い?霧野が助けるように俺を見る。でもこの人に対抗する方法を思い浮かばない…

どうしたら…





「…兄様、霧野先輩はどうしたんですか。蜜柑さんと言い争って…」


霧野・神童「!」

そこに現れたのは、月乃だった…。

神童「…」

……ん?今、蜜柑さんって…?

月乃「…お久し振りです。」
愛姫「杏樹ちゃんっ!はろはろ〜♪この子知ってる〜?」
霧野「Σこの子っていうな!」
愛姫「?この娘?」
霧野「遠ざかってる!!!」
月乃「……霧野蘭丸先輩です、ご存じでは?」

蜜柑さんの質問に対して月乃が答えるまでにあった会話は、よく聞こえなかったという事にしておいていいかもしれない。

愛姫「…あーっ!噂の美形エースディフェンダー!!う〜ん…それじゃあ着せるの悪いかぁ…」←今更
霧野「ほっ、本物の女子がそこにいるからっ!」

え?

愛姫「……杏樹ちゃんっ♪」
月乃「え…?」

満面の笑みでメイド服を月乃に渡す蜜柑さんと、珍しく戸惑った表情で蜜柑さんとメイド服を交互に見つめる月乃。

霧野の方を振り向けば、しまったという表情でその様子を見つめていた。

月乃「……何で、着なくてはいけないのですか。」
愛姫「神童君にこの服の可愛さを分かってほしいからっ♪」

その時、月乃がちらりと霧野と俺の方を見た。

月乃「……分かりました。」
神童・霧野「え?!」

**

霧野「…お前はもっとはっきり言えるようになった方が良いと思うぞ?」
神童「…ああいうのは、いつも執事がやってくれてたからな…」

まあ、あんな変わった奴はもう二度と来ないとは思うが。愛姫蜜柑、っていうあいつは確か見た事がある。

…ゴシックロリータの服を主に取り扱う店の店員だ。なぜ俺が知ってるか、というと…言いたくない。

神童「霧野…変わったな。」
霧野「?」
神童「小学生の頃は、頼まれたら着て(霧野「それより俺が来たのはっ!!!」

それとこれとは違う話だろ、なッ!!←劇の時無理やり蜜柑の店のドレスを着せられた過去あり

隣の部屋で着替えてる2人に聞こえないよう、一旦深呼吸をして落ちつけてから本題を口にする。


霧野「…月乃の誕生日の事だろ。」
神童「ああ。…女子って、可愛いのが好きなのか?」
霧野「そうなんじゃないか、葵の携帯のストラップすごいだろ。」
神童「…豪炎寺さんとかは可愛いのか…?」

いや、それは可愛いとは別の枠なんじゃ…;;

月乃が今日誕生日だと、神童は1時間前に知ったらしい。それで月乃が記憶喪失だと知る俺に会って相談したいと連絡してきたのだ。

正直、本人に好きな物は、とか聞けば一番早いと思う。だけど俺に相談してくるんだから聞いたんだろうし…。

それに、月乃が欲しい物と聞かれて何か答えるとは思えない。

神童「…月乃に、ほしい物を聞いてみたんだ。」

俯いて、神童がポツリポツリとその時の事を話す……


神童『月乃、何か欲しい物は無いか?』
月乃『…忘れた記憶です。』


霧野「…」

何も言うまい。

神童「…霧野、もしお前が記憶喪失になったらどう思う?」

…俺が、記憶喪失になったら?もし、月乃と同じような立場だったら…。

霧野「…辛いと思うんだ、自分が知らない人達ばっかりなのは。だから…月乃は、記憶を取り戻すのに必死になると思う。」

だから、月乃はきっと欲しい物では記憶以外何も言わないだろう。

だから、月乃に普通の女子が喜ぶ物をあげても意味あると思えない。

神童「…その月乃が、喜ぶ物…」
霧野「物じゃないんじゃないか、多分…。」

物じゃない。きっと、月乃が喜ぶのは…嬉しいと感じるのは。


**


月乃「…兄様。」

ドアがノックされ、その後ゆっくりと開く。…やはり、蜜柑さんが持ってきた服は仕事着としての機能を大きく損なっている。

……結論、良く分からない。

月乃「蜜柑さんは、この服を置いて帰って行きました。」

本来の目的は見失われたらしい。

月乃「……バースデープレゼント、と言って…」
神童「!」



愛姫『うんっ、似合ってる似合ってる♪』
月乃『…私に似合っても、意味が…』
愛姫『良いの良いの☆ハッピーバースデー、杏樹ちゃんっ☆彡私からのバースデープレゼント!これからもよろしくねっ♪』


…どうやって誕生日を知ったのか、それは分からないが…。

小さなため息が漏れたとき、月乃は俯いて、スカートのすそを握り締めた。その手は小刻みに震えていて、俺は彼女の顔を見つめる。

月乃「………誕生日が来ないこと、それが私の目標でした。」
神童「…っ」

**

月乃「早く…早く、月乃杏樹と違う、本当に自分に戻りたくて…」

苦しい、苦しい…視界がぼやけて涙がこぼれていく。

乾いた心にしみて行く涙は、逆に泥となった土を崖に落としていって。もっと、心はカラに近づく。

何も情報が無い、知らない世界。もと居た場所はどこなのと、洞窟の中をを行ったり来たり。

誕生日は特別な日と誰かが言っていた、けれど私は前までの普通に戻りたい———そうすれば、ここから離れられるはずで。

兄様は優しい、初めて会った人なのにどこか懐かしくて、だけど一緒に居てはいけない様な気がする人。

——優しいから、一緒に居てはいけない様な気がするから。

だから早く記憶を取り戻して、これ以上の迷惑をかけないようにしたいのです。

そう思うたび、涙は溢れていた…どうしたらいいのか、方位磁針の針は揺れ続けて。

弱い自分が、嫌だった—————きっと、ずっと昔から……


神童「……月乃、俺は…月乃に会えてよかったと思ってる。」

ふわりと暖かな風と共に、兄様がすぐそばにいた。いつも、そうなのかもしれないと思う…。

兄様は優しく、抱きしめてくれるから…

神童「誰も、お前を迷惑だなんて思わない。慌てなくて良い、少しずつでも良い…そうして元のお前に戻ってほしい。」

…心がゆっくり満たされていく、色も形も無いもので。




神童「誕生日おめでとう…月乃杏樹。」



* fin... *

(神童、どうだったかな…)
(やっぱり、霧野君にはロリータ系が…)
(だから着ないって言ってるだろ!!)


誕生日おめでとう、雨音!
1日遅れちゃってごめんなさい!カオスな駄文で本当にごめんなさい!!!
これからもよろしくお願いしますっ!!