二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!* ( No.632 )
- 日時: 2012/07/16 10:50
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
第67話 天使たちの前進
——海王戦当日
オラージュ「ソフィア!これっ…!」
彼女に背を向けていたソフィアが、振りかえって駆け寄った。
素早くメモリーカードを差し込み、空中に展開されたウィンドウに2人は目を走らせる。
そこにあったのは、天界と魔界の大きな3度目の衝突≪ブラッド・ワールド≫の直前に現れた悪魔のデータだった。
ソフィア「!」
驚くソフィアの隣で、オラージュはその悪魔に会った天使が編集した、当時の状況をを読み上げる。
オラージュ「『どの天使も、その悪魔をただむかつくとしか思っていなかった。戦いを挑んできた訳でもなく、天界の野原がぼろぼろにされる映像を見せて来ただけだったから。だけど次の戦争で、本当に焼け野原になってしまった。あの悪魔が見せた映像そのままに…』」
ソフィア「…当時のNO.3…未来を知る悪魔。」
彼が見せたのは、未来だった。
未来を見せる、そんな事は神で無い限り出来ない事だとそれまでは思われていた。
時空の壁を通り抜ける為には、相当な力が必要だからだ。
オラージュ「この悪魔、ブラッド・ワールドを生きのびてる。まだ魔界で生きてるとみて間違いない。」
ソフィア「…つまり、私は近い内誰かと戦って死にかけるってことね。」
オラージュ「…アルモニの聞いた声が、この悪魔によるものならな。」
2人は、資料室を出た。
——アルモニは映像を見た訳ではない。
けれど時空の壁が無くなり、天上界にとっても“現在”が全てになった今、未来を知る事はより困難になっている。
だから映像を見せる事が出来なくなったと考えれば、辻褄は合ってしまう。
ソフィア「……私が…負ける?」
遠い所から、何かの声が聞こえる。
いつもなら急いで現場に駆け付けるソフィアも、今は“負ける”という事実が待ち受けている事に呆然とするばかり。
ふと彼女の隣を歩いていたオラージュが、立ち止まった。
オラージュ「…僕は、ソフィアが負ける未来なんて無いと思ってるから。」
ソフィア「…」
オラージュ「皆、知ってる。ソフィアの天界を護りたいって想いの強さ。」
俯いていたソフィアが顔を上げた。S級天使の証である、胸元の黄色いリボンを握り締める。
オラージュ「才能だけじゃない、想いがあるから負けないんだろ?」
ソフィア「…オラージュ…」
諭すようなオラージュの言葉に、見失っていた天使でいる理由を思い出す。
『ただ待ってるのは嫌なんだよ!!あたしっ…天界を護って、また……フローラ様と一緒に、サッカーやりたいのっ!!!』
泣きながら、ソフィアにそう言ってきた聖霊がいた。
正直天使の見込みなど無いその聖霊が、天使になりたいと言い出した時の事。
彼女に天使の学校への入学許可を出したのは、その強い想いを知ったからだった。
それだけの想いがあれば、強くなるだろうと思ったからだった。
ソフィア「……オラージュ、ありがとう。」
オラージュ「!べ、別に…天使長にはしっかりしてもらわないと、皆が心配すると思ったから!//」
ソフィア「ええ、私は天使長らしく…あの声の正体を突き止めないと。」
未来を変える事が出来ないのなら、避ける事も出来ない。
それでも、全てを迎え撃つだけの強さを持つ事で、新たな未来を切り開いていける…そう信じて、ソフィアは駆けだす。
**
橘「え?未港、雷門に来るんじゃないの?」
バッグのチャックを閉める手を止めて、美咲が尋ねた。
未港「雷門にはアルモニがいるから、私は別の場所を探して早く任務を終わらせるの。」
そう言いながら窓を開けると、爽やかな風が美咲の部屋に舞い込んだ。
彼女は美咲の昔からの友達、という設定になっている。美咲の仮の母親にもそう認識され、昨晩は喜んで家に迎えられた。
美咲にとっては、初めて天界の事と自分から見た雷門の事を、思い切り話せる相手だった。だから。
効率の面からそうした方が良いというのは、分かっていても。
橘「…でも、」
未港「アルモニの話聞いて、私も早く会いたくなっただけ。」
橘「!」
未港「良い情報手に入ったら、アルモニに教えに来るから。」
そう言われては、引き留められない。
橘「…そっか、ありがとねっ、クローチェ!」
にこっ、と満面の笑みで見送った。未港も安心したのか、穏やかな表情で部屋のドアを開ける。
どこに行くべきか頭の中で考えていると、すぐそばにいた人への反応が遅れた。
未港「あ…」
パタン、と部屋のドアが閉まる。
そこに立っていたのは、美咲の仮の母親だった。
「もう出ちゃうの?ゆっくりしていけば良いのに…」
未港「いえ、時間も限られているので。」
「そう…」
何か言いたげな彼女の表情に、未港は察して、けれど何もせずわきを通り過ぎる。
——恐らく、前から気付いていたのだろう。
未港(頑張ってよ…アルモニ。)
家を出ると、未港は深呼吸して空を見上げた。雲ひとつ見えない、澄んだ空が広がっている。
未港「…まずは、吉良財閥から。」
**
橘「遅れましたーっ!!」
霧野「一番最後だぞ、美咲。」
ごめんなさいっ、と頭を下げる。すると神童が、別に遅刻じゃないんだぞ、と優しく声をかけた。
霧野「あと1,2分で集合時間だけどな。」
橘「えへへ…;;」
荷物をバスに運び入れるのは、マネージャーと1年の仕事。つまり、1年である橘はもっと早く来るべきだったのだが。
橘「今朝はお母さんの体調が悪かったみたいでっ‥」
弁当落としちゃったり水筒の中身こぼしちゃったり大変だったんです、と言い訳(事実)…を心の中で。
天馬「あ、美咲おはよう!」
橘「おっはー、天馬君!手伝うよ!!」
クーラーボックスを2つ抱える天馬を見つけて、美咲が駆けていく。
その彼女を目で追いながら、霧野は笑みをこぼした。
霧野(…今日も、元気だな。)
* to be continued... *
天使のオリキャラさん2人を出させていただきました!
ツンデレって難しい…それに途中クローチェちゃんの口調が分からなくなって…あうぅ、キャラ違くなってたらごめんなさい!!
次回、ようやく海王戦!