二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*NEW:天使たちの前進〜 ( No.635 )
日時: 2012/07/29 22:39
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

第68話 初めましてな2人と敬語


「あのっ…」


橘「あ…」

スタジアムに到着した雷門イレブンの前に現れたのは、2人の少年だった。

彼等を初めて見る橘は、しばらく口を開けたまま2人を見つめる。が、他の部員達は眉を寄せた。

かつて黒の騎士団が雷門を襲撃した後、サッカー部をやめた、当時セカンドチームに所属していた…一乃と青山の2人。

車田「お前たち…」
橘(確かにメンタル面強くはなさそう…でも…今更この表情で会いに来たって事は…)

気まずそうに俯く2人を、美咲は分析。

やがて答えをはじき出し、苦笑する。部員たちの冷たい視線は、2人の決意を揺るがしているように見えた。

一乃「今更って思われるかもしれないけど…だけど、」


“サッカー部に戻りたい”



周りの部員達が、驚きに息をのむ気配が伝わった。

美咲は目を伏せ、彼女の憧れていた人を思い浮かべる。裏切る、見捨てる…その辛さを分かっていたであろう、彼女を。

神童「待っていたぞ。」
全員「!」

その時、キャプテンである神童が一歩前に出て言った。

倉間「なっ…何言ってんだよ!」
橘「…でも、サッカーやりたい人が入るのがサッカー部じゃないですか!」

抗議する倉間に、神童をフォローする言葉をかける美咲。

すぐに外野は黙ってろとでも言いたげな視線を受け、一乃達からは驚きの目を向けられる。

面識のない1年が…、と。

神童は自分と同じような考えの美咲に笑みを浮かべ、自分の考えを倉間達不満を持っているであろう部員達に告げる。

フィフスセクターから逃げた、そういう基準ではなくサッカーを愛する人々が気兼ねなくサッカーが出来る状況をつくる事。

神童「それが、俺達の目指す革命なんだと思う。」
橘「うんっ、革命を成功させたら、熱いサッカーを、サッカーが大好きな人達が出来る!雷門はもうそうなってるはずだよ!」
天馬「キャプテン…美咲…」
山菜「シン様すてき♪」

山菜マネージャーの周りでは花が飛んでいる。美咲は色んな人がいるんだ…と改めて思う。

こうして一乃と青山は雷門中サッカー部に復帰し、雷門イレブンはどこか新鮮な心でホーリーロード地区予選決勝を迎えた。




橘「先輩方、初めまして☆」

どうぞっ、とファーストユニフォームを一乃の前に差し出して笑顔で挨拶をする。その隣では、青山に渡す歌音の姿も。

セカンドのメンバーだった2人にとって、初のファーストユニフォーム。

おずおずと手にとり、ありがとうと一乃は微笑む。

橘「あたし橘美咲っていいます!」
歌音「奏宮歌音、マネージャーよ。」

一乃「俺は一乃七助、元セカンドチームのキャプテンを務めていたんだ。」
青山「青山俊介、一乃と同じMFだ。」
橘「戻って来てくれて嬉しいなっ!…あっ、これサッカー部皆の想いを代弁してみて…」

テンションが上がったのか敬語が抜けた美咲の隣で、歌音は小さな溜息をもらした。

その時、神童が一乃達に声をかけたため美咲と歌音は廊下で2人きりになる。

歌音「…貴女…」
橘「?」
歌音「せめてもう少しまともな言い訳言いなさいよ…」
橘「…あたし敬語使い始めたのこの歳になってからだもん。」

ふくれっ面で視線を逸らす美咲。

歌音「…じゃあ、私と話す時は敬語にしてみ(橘「やだっ!!歌ちゃんと敬…」
歌音「本当に敬語にさせるわよ?」

途端動きを止める美咲と、若干イラついていると思える歌音のやり取りを見た葵は、手伝ってと声をかけようとし言葉を飲み込む。

葵(…何だかんだ言って、2人って仲良いんだよね…)

あの中に、少し前までは月乃さんもいたのに…、と目を伏せてから思う。

結局2人は、真っ先にミーティングルームから出て来た天馬の声かけによって、マネージャーの仕事へ戻る事になった。



「さて、ホーリーロード地区予選決勝はここ、ホーリーロードスタジアムで行われます!!」

実況の気合の入った声を聞きながら、美咲は剣城の方をちらりと見た。

黒の騎士団の一件、その後の雷門サッカー部の縮小も、人間界に橘美咲として現れる前に調査済みだった。

セカンドチームをボロボロにしたのが剣城1人だけだという事には驚き、しかしだからこそ、セカンドチーム全員がサッカー部を辞めた事には納得した。

橘「……。」

2人を退部に追い込んだ彼に、特に大きな変化は見られない。

「カードは、Aブロックを勝ち抜いた雷門中、そしてBブロックを制した海王学園です!!」

雷門イレブンは円陣を組み、気合を入れる。復帰した2人はベンチだが、神童と話す時に熱い応援を約束していた。

一方、スタメンである霧野は野性的な海王学園の面々をにらみながら頭の中で思考を巡らす。

霧野(…全員がシードのチーム…プレイスタイルが分からないのは痛いな…)
橘「霧野せーんぱいっ、目が怖いですよ〜?」
霧野「緊張してるんだ…ってそれを言ったら周りもそうだろ?」

はぁ、とため息を吐く霧野に、くすくすと笑う美咲。

霧野「?何で笑って…」
橘「はいっ、スマイルスマイル!あたしが覚えてる数少ないことわざに“笑う門には災い来ず”って…」
歌音・霧野「“笑う門には福来る”。」

そうだっけ、ときょとんとしている美咲に2人は脱力する。

しかし直後、霧野は苦笑しながら顔を上げて、頭の悪そうな後輩の頭をポンッと叩いた。

霧野「まあ、前の試合みたいな災いは困るな…」


そう言った霧野の表情は、困った様な、けれど微笑んでいて。

美咲はフィールドに向かうその背中に、笑ってくれた嬉しさからか満面の笑みを向けていた。



青山(…あの1年、全然強くなさそうだな本当。)
一乃(でも強かった……はず。)

前の試合で見せた強さは幻だったのではないか、と2人は首をかしげていた。


* to be continued... *
13日振りの更新…縁起の悪い数字だなぁ((
この話はうろ覚えだったので、一乃達のセリフも、実況も、私が考えた物になってしまっています;;
ご了承ください!!