二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*74話更新,短編募集中! ( No.693 )
- 日時: 2012/09/02 14:56
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
第75話 揺れる、
ソフィア「今回の議題は、先日の悪魔襲撃……その際、なぜボックスが聖力に包まれていたのかという事です。」
席について自分の事を見つめる女神や天使たちの顔を見まわして、ソフィアが言う。
彼女は先日の悪魔襲撃事件でダメージを受けた後、強い者のみを回復させるといわれる強者の泉に放り込まれた事で回復した。
しかし強いの基準は高く、アルモニの前のA級天使長は弱いと分類され殆どの聖力を奪われてしまったという、恐ろしい泉だ。
ガイア「そうね、悪魔が聖力を持つなんてあり得ないわ。」
セレネー「天使や女神が魔界に連れ去られたという情報はありませんし……」
メーティス「連れ去られたとすれば随分昔だもの。もう魔力に染まって聖力とは呼べないはずよ。」
女神たちが口々に言う。
悪魔が天使や女神をさらう、という事例は昔あった。天界の状況を知りたいがためだった。
そして、聖力は魔界に満ちる魔力に次第に染まって魔力と化す。逆もまた、然り。
ソフィア「……聖力を装られたのなら、あのバリストより相当強い悪魔がいるという事になります。」
ガイア「その存在は確実ね。あのジャスティスを殺した悪魔はまだいるとみて間違いないもの。」
かつて魔界最強と云われた悪魔——ジャスティス。
ブラッディ・ワールドにて、彼に次ぐ強さを持つ悪魔の手により魂を破壊された。
メーティスの言葉でシンと静まり返る議場。その場に居なかった天使も、天使を育成する学校で勉強した事だ。
メーティス「でも今の状況ではどう言っても行動に移せないのが事実。まずはこの結界を破るのが先ではなくて?」
ソフィア「そうですね……」
バリストの張った結界を、ソフィアは強い目で見つめる。
この結界すら破れないようでは、現段階で魔界1の強さを誇る悪魔には勝てない。
ソフィアは右手を強く握りしめた。
*
橘「あれっ、キャプテン?」
雷門の制服を着た、特徴的な髪型。あたしの声に振り返ったその人は、間違いなく神童先輩——キャプテンだ。
神童「橘じゃないか!」
橘「こんにちは、ちょっとお久し振りですっ!」
病院から帰る途中のあたしは、まさかサッカー部員に合うとは思わなくってすごく嬉しかった。
キャプテンはあたしの左腕を見て、苦笑する。
神童「おっちょこちょいで骨折したって、本当だったんだな……。」
橘「らしい怪我でしょっ?」
神童「ああ、最高にお前らしいと思うよ。」
冗談を即答で返された。
正直、あんまり話してるとクローチェとオラージュを待たせちゃうけど……色々聞きたいな、サッカー部の事。
橘「ハンター君どうです?」
神童「・・・・・・狩屋か?」
通じた!
神童「サッカーは上手だ、この前の秋空チャレンジャーズという社会人チームと試合をした時もシュートをハンターズネットという技で止めてくれたし……ただ……」
ちらり、とあたしをみるキャプテン。んっ?
神童「橘みたいに、勢い良すぎなこともあってな。霧野に衝突したりしてたが……。」
橘「へ〜っ、何か意外です。霧野先輩、大丈夫でしたか?」
神童「……」
あれ? 何で黙って……?
橘「も、もしかして大怪我しちゃったり……!?」
神童「あ、いやそういう事じゃないんだ。ただ2人は相性が悪いのかもしれないな、って。」
え……? 確か、ハンター君はDFだったよね。霧野先輩はエースディフェンダーだから連携とか大事だと思うんだけど……。
神童「衝突されて霧野が倒れた後から、霧野の狩屋に対する視線が鋭くなったというか……それに、練習の時は霧野が狩屋の足を踏んで狩屋が倒れて……。」
橘「!?」
神童「狩屋は『霧野先輩を責めないで下さい』とは言ってたんだが……」
それって、霧野先輩がハンター君の才能を妬んでるってことなのかな。霧野先輩はシュートを止められる技、持ってないもん。
神童「狩屋は良い奴だよ。ただボディーバランスが良いから少し危険なプレーと、単独プレーに走りがちだ。霧野はそれに気付かせようと努力してるんだと思う。」
橘「それで睨む?」
神童「っ、それは……。」
ハンター君は良い子なのに。
明日は霧野先輩に、言ってやらなきゃ!
*
未港「フィフスセクターに対抗するレジスタンスの一員である吉良ヒロト。私はその男に接近し、レジスタンスに入った。」
姫夜「情報は?」
未港「……有力な情報が入った。天界から認識できない、フィフスセクターの所有する島がある。」
美咲の部屋で開かれた会議。彼女の母親が持ってきた人数分のジュースには、一切手がつけられていない。
姫夜「そこだけ、天界側に知られたくないという事か。フローラ・ヴィエルジェに関する情報が集まっているか、本人がいるか、魔王がいるかのどれかとみて間違いないな。」
未港「……美咲、聞いてるか?」
手のつけられていない、自分の分のジュースをじっと見ていた美咲に未港が声をかけた。
ボーっとしていて彼女らしくない。
橘「うん……。とりあえず未港はそのまま吉良ヒロトって人についていって情報を集めて。」
姫夜「でもどうやって接触したんだ?」
未港「両親がフィフスセクターで家に帰って来ない上、私自身サッカーが好きで管理サッカーは嫌なのにって言ったらあっさり。」
姫夜「……すごい。」
未港「吉良ヒロト自身孤児だったから。」
雷門中サッカー部、イナズマジャパンなど中学サッカーに関する事は未港、姫夜の頭に入っている。
姫夜「……で、僕はどうすればいいの?」
橘「うん、その島に潜入してほしいけど最悪の場合を考えると難しいから……時が来たら、潜入してもらうね。それまでは天界のそばに居て残ってるB、C級天使の統括をお願い。あたしは引き続き雷門サッカー部に居て情報を探るから。」
淡々と言う美咲に2人は顔を見合わせて首を傾げるも、それじゃあ解散、と言われて部屋を出るほかなかった。
*
「……行ってきます。」
今日も朝練だ。脳裏に浮かぶのはあの新しい後輩の顔。
自分のプレーを注意されてムカついているってことなんだろう。だけどチームでプレーするサッカーにおいて連携は大切だ。
剣城もシードかは分からないって言ってた、でも……。
「霧野先輩、」
霧野「!」
少し震えた声。前方に居たのは、左腕を三角巾で吊るしたサッカー部のマネージャー……。
霧野「橘?」
その視線で、咄嗟に悟った。
コイツは、俺に対して敵意を持っていると。
* to be continued... *