二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〜続・イナイレ*最強姉弟参上?!*〜イナGO人気投票実施中! ( No.77 )
- 日時: 2011/09/07 03:43
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
第9話 部活‐club
月乃はイライラしていたかもしれない。
給食の時、歌音がふと気付いた。退屈そうで、それもあるかもしれないが天馬に話しかけられる度に表情はイライラしている。
五月蝿いのが、嫌いなのかもしれない。
月「天馬さん、私、五月蝿いの嫌いなので出来れば静かにしていて下さい。」
天「えっ…」
歌「…ビンゴ。」
—給食の後、休憩時間(昼休み)
先「月乃さん、今日の放課後に部活見学して部活動決めてもらうから。見学に行きたい部活…多くても3つ位、予め決めておいてね。」
そう言っているのが聞こえた。
歌音は文庫本を呼んでいた。案外おもしろいが、あと少しで読み終わり。何となく寂しい気持ちになる。
月「…奏宮さん。」
不意に聞こえた自分を呼ぶ声。
歌「何。」
月「あの、確認です。部活って野球部とかラグビー部とかのことですよね?」
歌「…そうよ。」
ありがとうございます、と月乃は紹介の紙に目を通し始めた。歌音は彼女の様子を見ながら、口を開く。
歌「私のお勧めはサッカー部。」
月「……!?」
歌「マネージャー限定だけど。」
月「…サッカー部って今大変な状況にありますが…。」
歌「貴女なら力になれそう、って話よ。言っておくけど私は入って無いわ。」
それだけ、と彼女は話にピリオドを打ち、視線を活字に写す。転校生は顔を陰らせ、机の上の紹介をぼんやりと眺めていた。
「私のお勧めはソフトテニス部かな。」
月「!」
そう言ったのは橘。
橘「最近、足怪我しちゃって行けないけど私はテニス部部員!月乃さんが入ってくれると嬉しいな♪」
月「…」
まさかの勧誘。月乃は「一応放課後行きます」と言った。そして部活の話は終わり、という様に席を立ち学級文庫の方へ歩いて行った。
天「部活、何入る(月「まだ決めてません。」
3時間目辺りから、天馬が何か言うと答を即答したりする様になった。こうすると、天馬は話を続けにくい。
月「…もう疲れたので話しかけないでほしいです。」
天「サッカー部入らないっ?!」
月「…」
小さく息を吐くと、彼女の視線は再び外。
歌「6月、嫌と言われてるのに話しかけると、嫌われるわよ。」
天「…6月。」
彼のあだ名は6月。その月は、松風と呼ばれてもいるから。
天馬が月乃を見ても、その瑠璃色はフィールド…そう、何も無い所に向けられている。何かを見ないように…。
霧「月乃は、試験どうだったんだ?」
霧野が神童の机に座りながら(イメージです、マネしないでね!)そんな話を切り出した。
神「点数がどれくらい取れたか知らないけど、余裕で合格ラインを超してたらしい。」
霧「頭良いんだな。」
神童が同意の意味で頷く。
霧「部活動見学、行くのかなサッカー部に…」
神「月乃が好きなのをやれば良い。」
霧「でもサッカーは強そうだよな、剣城のシュート止めてたし。」
それもそうだ。
でも、と思う神童とだよな!と思う神童。短く息を吐いて気持ちを落ち着ける。
どっちでも良い。月乃が決める事なのだから。
霧「…初戦敗退か。」
神「暗い話持ってくるなよ。」
霧「監督が勝つ気で試合とは、何考えてるんだか。」
話は、自然とサッカー部に行く。フィフスセクターからの勝敗指示は2−0で雷門の負け。
円堂監督はそれに逆らう気で、試合に勝ちに行くらしい。
霧「どうする?」
神「…とりあえず今日は部活に行かないで帰る。」
—放課後
歌「テニス部、先に行く?」
月乃がコクリと頷いた。歌音はその様子を見ると、テニスコートの方へ案内する。
部活動見学。歌音が校舎内を把握している為、案内を先生に任されたのだった。
テニスコートでは、もう部員達が打ち始めていた。1年と2年の女子は多い。そして上手い人も多かった。
部長は歌音を見つけると、駆け寄って「どうしたの?」と声をかける。そうやって気付いたり行動が早い所が部長に選ばれた理由だろう。
歌「部活見学です。転校生の月乃杏樹。テニス部に興味があるらしくて。」
テニス部は残念ながら3年は引退していた。今の部長は2年の五十嵐。新人戦ではとても期待されている。
五「じゃあやってみようか。奏宮さん、時間見てて。他の部活も見るんでしょ。」
しっかり者、という言葉がぴったり。
歌音は貸しラケットを月乃に渡した。慣れない様子でそれを持ち、簡単に素振りを教えてもらい、ボールを打つことに。
五「行くよ。」
ボールを手だしで出して貰い、それを打つ。パコン、と良い音が出た。
しかし、それは部員の方に飛んで行き、頭に直撃した。笑いが起こる。
歌「…ボールが弱いから余計に笑えるわね。」
—テニス部見学は、平和に終わった。
歌「サッカー部、行きましょうか。」
月「はい。」
体はこれから行くけれど、視線は既にグラウンドに向いている。そしておかしい、と首をかしげた。
胸騒ぎがして、月乃は走り出した。歌音が慌てて後を追う。
—グラウンドに居たのは、1年生だけだった。
どうして天馬が誘ったのか、彼女には理解出来た。
恐らく、先輩たちの意識を変えるため。月乃が入ることで神童が動けば、2年生が変わるかもしれない。
そうすれば3年生だって動かずにはいられない。きっとそんな事だ。
歌「こんなにひどいのは予想外…。」
月「…様。」
歌「っ?」
月乃が走りだす。校門に視線を凝らすと、ウェーブのかかった髪が見えた。ゆっくりと足を止め、じっとそれを見つめる。
月「…ッ…。」
どうしたら良いのかなんて、分かるはず無い。
月「奏宮さん、私、今日帰ってゆっくり考えてみます。」
歌「・・・そう。」
校門に向かってゆっくりと歩いて、そして道路に出て右を振り向けば。
神童がいた。
月「…兄様。」
神「帰るか。」
複雑な心情で、彼を見つめた。