二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第1章 ガラスの要塞(禁書視点) ( No.7 )
日時: 2011/09/02 21:29
名前: おかゆ (ID: In.A84i5)

学園都市。

東京都西部の未開拓値を切り開いて作られた大都市。
面積は東京都の三分の一ほどで、外周は高い壁で覆われている。
人口はおよそ230万人、その八割は学生である。
ありとあらゆる科学技術を研究し、学問の最高峠とされるこの街は、
もう一つの顔がある。

人工的かつ科学的なプロセスを組み上げられた
超能力者養成機関である。

学生を対象に『開発』されるこの能力は各人によって様々な種類に分かれるが、
その価値や強さ、応用性等によって、
無能力者(レベル0)低能力者(レベル1)異能力者(レベル2)強能力者(レベル3)大能力者(レベル4)
超能力者(レベル5)
と、六段階に分類されている。

そんな大都市にとあるビルがあった。

その部屋には窓が無い。

階段どころかドアも無く、エレベーターも通路も無い。
建物として全く機能するはずの無いビルは
大能力者(レベル4)である空間移動(テレポート)が無ければ出入りする事も出来ない最高の要塞だった。

そんな核シェルターを優に追い越す強度を誇るビルの中に
1人の人間が立っていた。

名前は貝塚白夜。

超能力を極め、学園都市の怪物と呼ばれた人間。

彼は人を殺す事に躊躇いを覚える人間ではない。
生きたまま人間をひしゃげる事さえ迷いはしない。

だが、そんな彼でさえ目の前の光景は何度見ても慣れる事が出来なかった。

部屋の中央には巨大なビーカーがあった。

全長10mを超す強化ガラスで出来たビーカーの中には、赤い液体が満たされている。

ビーカーの中には手術服を着た人間が逆さに浮いていた。

その人間は男にも女にも見えて、子供にも大人にも見えて、聖人にも囚人にも見える人間だった。

ビーカーの中の人間、アレイスター=クロウリーは貝塚白夜にむかい、男にも女にも子供にも大人にも聖人にも囚人にも聞こえる声でこう言った。


「・・・・・・、私が君を連れて来た理由は分かるかい?」

「・・・」

貝塚は答えなかった。
むしろ、答えられなかった。

目の前の人間を把握出来ない。
何も分からない。

しかし、アレイスターは続ける。

「学園都市の『外』には、超次元サッカーという物があるらしい」

この言葉を聞いて、貝塚はわずかに眉をひそめる。

「・・・、お前にしては珍しいな。『外』の事を話すなんて」

貝塚は口を開いた。
彼は続ける。

「その超次元サッカーが、俺と何が関係ある」
「君にスパイをしてもらいたい」

彼は理解出来ない。
何も。

「名前は確か『雷門中』だったか。あそこは超次元サッカーが最強・・・だったか?まぁそこで君は超次元サッカーの技の実態・・・と言うより原理を解明してほしい」
「ソレに意味はあるのか?」

その答えは、ある意味でとても明白で、ある意味で理解不能だった。


「・・・・・・その超次元サッカーを学園都市の私物にする。まぁそれなりには大変だとは思うが、超能力のエキスパートの君の事だから、すぐに解明は出来るだろう」