二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 狐の婿入り?【参照200突破感謝!】 ( No.36 )
日時: 2011/12/25 15:45
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

拾肆話 「狐の婿入り」


狐咲がやってきた日の夕方。
皆同じ部屋で千鶴の淹れた茶を飲んでいた。
狐咲は、狐凛を連れ帰るタイミングが掴めぬままだ。
それでも気さくに千鶴と話したりしていた。

狐咲「全く、此処は愉快だわ。狐凛が長居する別の意味も分かるわね」
狐「母君、それはどういう意味で?」

狐凛は疑わしげに聞くが、狐咲は何時もの笑みだ。
狐凛は溜息を付く。
その様子を見て、千鶴が微笑む。

千「やっぱり良いですね、家族って」

クスクス笑っている千鶴の笑顔を見て、狐凛が硬直する。
顔から耳にかけてが真赤だ。
それを見て、狐咲がまたにこりと笑う。

左「おいおい、大丈夫か?狐凛。熱でもあるのかよ」
狐咲「気のせいよ、きっと。放って置いて大丈夫だわ」

左之助が心配するが、狐咲が抑える。

狐咲「さ、帰りましょう。狐凛行きますよ。これ以上の長居は無用です」
狐「えっ!?母君、もう少し待ってくれ!」

さっさと帰ろうとする狐咲を見、狐凛が慌てる。

平「見送るぜ」
左「だな。最後位見てってやるよ」
千「あ、私も!少し待って下さい!!」

”見送り”と称して、皆狐凛達を外まで出した。
少なくとも、千鶴はなにも感じていないが。
追い出されるような形で外に出た狐凛は、渋々狐咲の後ろにつく。
千鶴がやっと追いついて外に出る。
それを見た狐凛は、千鶴の腕を引っ張った。

千「へっ!?」

急に腕を引っ張られた千鶴は驚きの声を漏らす。

狐「俺と一緒に来い!千鶴!!」
千「・・・えぇ!??」
総「おー。千鶴ちゃん、了承しちゃう?」
平「んなわけねぇだろ!?なぁ、千鶴!」
一「ふざけとしては限度が極まりないな」

皆口々に自分の思った事を言う。
その時、さーっと雨が降り始めた。
天気は晴れだ。

総「天気雨だね。狐の嫁入りとも言うらしいけど・・・今回は”狐の婿入り”かな?」
狐咲「狐が告白した時に天気雨が降ると、ふられる合図らしいわよ〜。狐凛」
狐「今の俺じゃ千鶴につりあわないっつーことか・・・。おし、待ってろよ、千鶴!俺、絶対に千鶴につりあう狐になって帰ってくっから!」

狐凛はそういうと、一目散に天へ帰って行った。

狐咲「えっ!?ちょっと待ちなさい!狐凛!皆さん、狐凛がお世話になりました。では」

狐咲は礼を言い一礼すると、急いで狐凛の後を追っていった。

土「やれやれだ」

土方がそういうと、皆屯所の中に入っていった。
天気雨は、まだ降っていた———。


  【完