二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

(第一話) 大丈夫、大丈夫だよ。 ( No.11 )
日時: 2011/09/11 13:23
名前: ゆう ◆Oq2hcdcEh6 (ID: /HyWNmZ0)


「——え、?」

 それは唐突に始まった。
 ふんわりと天然のパーマが掛かった茶色の髪が特徴的の少女、彩音はポカンと口を開けて亜美を見る。信じられないという表情に赤い瞳を細め、亜美は笑った。

「私ね、アメリカに行こうと思うんだ。、一之瀬くんと土門くんと、一緒に」

 亜美は笑みを浮かべたまま、いまだ呆然としている彩音にゆっくりとした口調で言葉を掛ける。ちゃんと何処かで会えるよ、と。確信があるまでは行かないものの、一生会えないということは無いのだから。
 まさか、すぐに会うことになるとは微塵も知らず亜美は言う。
 彩音は未だ驚いたような表情をしていたものの、すぐに少しさみしそうな笑みを浮かべれば「——亜美ちゃんが決めたんなら」なんてぽつりと呟くような小さな声で言葉を発した。
 本当は寂しくてならなかったのに————言葉が喉に引っかかったように、出ては来なかった。亜美もその様子に気づいてか、少し悲しげに表情を曇らせたもののすぐに笑みを広げた。

「大丈夫、大丈夫だよ。すぐに会える。会えなくても会いに来るよ。私は"あのこと"について、ハッキリと言わなくちゃダメなんだ。だから、行かないといけないの。でも、彩音ちゃんのことは忘れないし、すぐに会えるから」
「——信じてるよ、亜美ちゃん」

 ふわりと笑う彩音に、亜美も笑みを浮かべて見せた。
 それに、と言葉を続ける亜美。

「日本にはティアラやラティアも居るから。何も、心配はないよ」

 そうだ、何も、心配はない。
 彩音は笑みを浮かべたまま、頷いた。次いで、手をひらりと振る。行ってらっしゃいと呟く彩音に、亜美も呟きを返した。

 ————行ってきます。

 新たなる挑戦が始まる、少し前の、寂しい序章。しかし、その決断は二人の人生を、全てを変えることになる。今はまだ、始まったばかり。



(何も心配はいらないから)