二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *イナイレ*【トリップ】失いすぎた少女 第2章更新中!! ( No.282 )
日時: 2012/08/24 20:41
名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)

第6回 番外編「残ったmemory」

「はい、これで体育の授業は終わります。」

教師の掛け声とともに教室に戻り始める生徒。
2学年の只今行われているのは陸上競技にある【持久走】。

【持久走】
絶対的なスピードや瞬発力などよりも持久力、戦略などが要求される。
比較的レース展開は穏やかであるのが特徴。
短距離は同走者のペースによって走りが変わることはあまりないが持久走では常に同走者との駆け引きが行われる。

「今回もやっぱり夕闇さんが一番だろうなぁ」

「夕闇を超えられる奴なんているのか?;」

周りから聞こえる噂。

私が向こうの世界での存在が消えたと同様にこちらの世界でも【三枝朱音】の存在が消えた。
故に今まであいつが化け物並みに残してきた記録などはすべてない。

沙「…張り合いねぇな…」

いつも隣で馬鹿みたいに笑っている、校庭を駆け回っていた茶色の髪がとても懐かしく感じる。

去年まではあいつとどちらが先にゴールすることができるか競ったのが鮮明に蘇る。

先程説明した【持久走】とは随分異なっていた。

戦略?とりあえず走ったな。
比較的レース展開は穏やか?どっちもせめぎ合いで殆ど短距離の展開と同じだったぞ。

今頃あいつは何をしているのだろうか。

あいつも物足りなさを感じているかな。
心のどこかで切に願っているけどそんな事はない。

今のあいつに私はいない。
私はこんなにも色濃く覚えているのに。


パカッ

未だ消せていないあいつのアドレスと番号。

カチカチ

沙「……………」

『プツッ…この電話は現在使われていないか電源が入っていないため—…』

帰ってくる音は無機質な機械音だけ。

カチッ   カチッ

とりあえずアドレスとか番号は消せなさそうなので他の物から消してくか。

沙「そーいや、あいつとはあんまり写真とか撮ってなかったっけ。」

探すだけ電力の無駄か?;












カ…チ











沙「なっつかし…」

1枚だけ。たったの1枚。
けどかけがえのない1枚。

沙「これも消せないかなww」

カチカチカチ


              『待ち受け画面に設定しまた。』





























少し不釣り合いな人の山をバックに思いっきり笑って映っている黒い髪の長い少女と茶色の髪を肩まで伸ばしている少女の写真。

確かに彼女達が過ごしていた時間はあった。











たった1枚に記された記憶。