二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *イナイレ*【トリップ】失いすぎた少女 第2章更新中!! ( No.385 )
- 日時: 2012/10/23 20:20
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi
第24話 「腐っても神」
『思い出せないんだ。』
朱音のその一言が頭をグルグルと回っている。
目の前の彼女を見れば悔しそうに顔を歪め俯いていた。
朱「ごめん……。」
謝らないでくれ。
お前が悪いんじゃないんだ。
私が……あの神に頼んでしてもらったこと。
沙「いや、別に……」
『気にするな』というたった一言を最後に言うだけなのに。
できない。
朱「で、でもさ!!ほら、私だってそこまで馬鹿じゃないからこの写真を見てるだけでも何か思い出すかもしれないよね!!いや、絶対思い出すって!!」
わざと明るく言う。
君のいい所だと思うよ?人を気遣うって感じでさ。
でも、それは今の私には苦しいだけなんだ。
沙「クスッ……期待して待ってるよ。」
無理に少し笑ってやると子供みたいにパッと顔を明るくした。
あぁ馬鹿みたい。
沙「それじゃあ私は一足先にバスに向かうとしようかな。」
ヒラッと手を振ってバスが待機していあるだろう駐車場を目指す。
透明の自動ドアを潜れば少し先に青色のバス。
さぁ向かおう、と思うのだけれど自分の足は反対の方向へと向かう。
会場の裏まで行くと足は止まりベンチへと腰を下ろした。
沙「っ……本当に馬鹿だよなぁ」
自嘲気味に吐く。
まぁそんなのただの強がりだ。
どこかで信じていたんだ。
何かきっかけがあれば……と。
そう、あいつらなら……あいつならきっと
私を思い出してくれるって。
けどそんなの無意味なんだ。
事故で頭を強く打った。何か衝撃的な物を見てショックで記憶を失くした。ならまだ望みはあったんだろう。
考えてみろ、記憶を失くしたのはどんなにおちゃらけててもこの世界の神だぞ。
万に一つの失敗なんてあるわけないだろうに。
沙「そうだよ。何を今更……【後悔】なんて。」
朱「…………。」
少し前に彼女はバスへと向かった。
無理をして笑っていたように見えたけど今の私にできることなんてないのだ。
朱「私の……ばーか。」
写真を見ただけで分かる。
あのどこか底が見えない沙羅が思いっきり笑っていた。
それだけあの中にいた【三枝朱音】の事を信頼していて大切に思っていたことぐらい私でも分かる。
なのに、思い出せないなんて最低だ。
何故忘れたのか、何故思い出せないのかすら分からない。
(沙羅はもともといないということにされているので【記憶を消された】ことに気づいていません)
あの写真に気付いたのはつい昨日。
外を眺めてたら星が綺麗だったから収めようと思ったのだ。
携帯を開いて操作画面に入ろうとしたら誤って他のボタンを押してしまい電話帳の画面が映し出されていた。
朱「(夕闇……沙羅?いつ交換したっけ?)」
その時はいつもみたいに交換したのを忘れていたのだろうと思いこんで星空へと興味を戻した。
朱「綺麗に撮れたかなぁ……」
そこまで機械音痴ではないにしても得意でもない。
確かめがてら遊んでいたら……みたいな流れ。
友達に忘れられていた。
けどそいつは写真があっても思い出してくれない。
朱「本当……馬鹿だよ。私って。」